TOKYOの商店街で開業したい人必見！

こんな商店街・あんな商店街の
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VOL. 90

京急空港線「糀谷」駅より徒歩5分の場所にある萩中商店街。56会員が所属する商店街で、1964年(昭和39年)に組合が設立されました。商店街が始まるきっかけになったのは、環状八号線の拡幅工事。移転を余儀なくされた店舗が現在の萩中商店街があるエリアに集まり、地主さんが誘致していた商店と共に商店街が形成されていきました。当時近隣には町工場がたくさんあり、そこで働く人たちの利用も多かったとのこと。近年は周辺の住宅化に伴い、地域住民が普段使いする商店街となっています。買い物客が多くなる15～18時は全面車両通行止めにするなど、来街者の安心・安全も考慮して運営されています。
今回は、今年度で第9回目を迎える「萩中音楽祭」について、小池田亜也子副理事長(音楽祭実行委員長)にお話を伺ってきました。

「私がお店をオープンしたころは『萩中通り商店会』(現在は萩中商店街に改名)という名称でした。でも、他の商店街との会合などに出席すると、萩と荻の区別がつかなかったり、商店街なのか商店会なのかが理解されていなかったりして『はぎなかしょうてんがい』、『おぎなかしょうてんがい』など名前を間違えられることが多くて。間違われるたびに訂正していたのですが、一向に定着しませんでした。商店街で開業している人の中でも正式名称が浸透していない状況でしたね」と小池田副理事長。世の中に名前を間違わずに知ってもらうには…と話し合い、その中で出てきたのが「萩中音楽祭を開催する」ということでした。
小池田副理事長が実行委員長を引き受け、第1回目を開催。「イベントの開催は本業とは全く関係のない分野でしたが、ないものを作り出すのが好きな性分。少しずつ形になっていくのが楽しかったですね」と当時を振り返ってくださいました。

萩中音楽祭は、全国からプロ・アマ問わずにミュージシャンを募り、ファーストステージ、セカンドステージを経て、ファイナルステージで金賞、銀賞、銅賞を決めるというイベント。商店街で買い物をして投票券を手に入れた人が、好きなアーティストに投票し、得票数の多いアーティストが勝ち進んでいくという仕組みです。そしてファイナルステージで審査委員長を務めるのは、横浜銀蝿の翔さん。小池田副理事長が横浜銀蝿の親衛隊長をしていたことが縁となり、第1回の企画段階から協力してくださっているそうです。
毎年6月にエントリーがスタートし、8～9月にファーストステージを実施。10月のセカンドステージでは、勝ち進んだミュージシャンが観客の前で演奏し、その場でファイナルステージへの進出が発表されます。そして、2月の第3日曜日にファイナルステージを開催と、年間を通して行われているイベントです。
「運営はボランティアの力があってのもの」と小池田副理事長。毎年関わってくれる人も多く、混乱を招かないために、運営方法は大きく変更しないでここまでやってこられたとのこと。残念ながら、途中で敗退してしまったミュージシャンがボランティアに加わることもあるようです。

「以前は、名前すら曖昧な商店街でしたが、萩中音楽祭を通して全国的に認識してもらうことができました。また、知名度だけでなく、『萩中といえば音楽祭』といったブランディングにもつながったと思います。抽選券を発行する時期は商店街の売上もアップしているので、全体的な底上げにもなっています」と小池田副理事長。第10回の開催を機に実行委員長からは退かれる予定だそうですが、「後任の方にはこれを礎に、ご自身のやりやすい方法で継続していってもらえたら」と笑顔で語ってくださいました。