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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
89

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1951年(昭和26年)に発足したという大田区商店街連合会。約7,000店、100を超える商店街が加盟する組織で、事務局には正社員、パート含め19名の職員が勤務しています。10年前に事務局長に就任した河野玄氏は、「100を超える加盟商店街の事業を、事務局が個々に支援して回るのは時間や人的ソース的にも困難なため、商店街が自ら事業推進できるよう、組織力強化を支援したい」という思いから、各商店街に事務局職員が足を運んで棚卸をし、課題を把握。課題解決や自立へ向けて大田区と共に様々な施策を実行してこられました。 今回は、河野事務局長、大田区産業経済部 産業振興課 産業振興担当 石川泰大係長、吉原瑞恵主査に、商店街の課題解決を目的とした副業人材の活用や、インバウンド向け体験プログラムのモニターツアーについてお話を伺いました。
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今回お話を伺った、石川係長(左)、吉原主査(中央)、河野事務局長(右)。
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インバウンド向け体験プログラムの様子。
「補助金などの従来のスタイルではなく、他の支援方法はないかと模索していました」と吉原主査。そのような中、副業の解禁が本格的に進んだ2018年(平成30年)を迎えます。副業に興味があったということから、副業者の活用を立案。「専門知識を持った副業者の活用はプラスに作用すると考えました。マネジメントについては、より商店街の現状を把握されていて機動力のある区商連に、大田区が委託をするという形をとって進めていくことにしました」と教えてくださいました。
「商店街の事務機能を棚卸して分析してみると、SNSなどを使った広報やマーケティングに課題を抱えている商店街が多いことが分かりました」と河野事務局長。この分野の専門ではない事務局では適切なアドバイスができないため、副業者にお願いすることに。数カ月と限られた期間、かつ、本業を抱えながらという状況下、成果を出すためには「ゴール設定」を明確にし、ぶれずに進めていくことが重要なポイントだそうです。
お店と副業者のマッチングについて、当初は事務局が中心となっていましたが、直近では店主に募集案件作成から副業者の選定までを自ら取り組んでいただき、店舗単位での副業者活用シーンの展開方法を検証しているとのこと。河野事務局長は、「自ら課題を見つけて、解決できるようになってもらうことが商店街存続のキーでもあります」と明かしてくださいました。
副業者を活用した店舗からは、「Instagramの投稿では何が正解か分からずモチベーションが保てず…。Instagramの概念や広報についてアドバイスを受けた後は、数字の見方や投稿の検証ができるようになりました。リーチ数は2,000程度だったのが最大13,000まで伸びたんです」との声が。また、副業者からも普段と違ったフィールドでの提案は、自己の成長につながったという感想が寄せられています。

羽田空港がある大田区には多くの外国人の姿が見られ、入国後、出国前に一時的に滞在される傾向が見受けられることから、短時間で大田区の魅力を味わってもらおうと、区内店舗が体験プログラム造成に挑戦。2025年(令和7年)1月、旅行会社やOTA(オンライントラベルエージェンシー)等への本格販売に向けてモニターツアーを開催しました。
大田区が発案した本造成事業は、区商連、副業人材マッチングサービス「lotsful」、JICE(一般財団法人日本国際協力センター)協力のもと、区内店舗のインバウンド需要獲得や売上アップ、受け入れ体制整備を支援するというもの。東京科学大学やJICEの留学生をモニターに迎えたツアーでは、「おにぎり作りと和菓子練り切り」、「寿司握りと出汁テイスティング」といった2つのプログラムを実施。アンケートでは、ほとんどの人が満点をつけるといった一定の評価が得られており、「プログラム内容は好評で、商品内容や価格設定に関し、各店舗様も手ごたえを感じられたようです」と石川係長。「こうした日本ならではの体験や地域を身近に感じられるローカルな体験などをきっかけに、大田区を目的地として来訪される方が増えることを期待しています」とも語ってくださいました。

お店と副業者のマッチングについては、他区からの問い合わせもあるそうです。「マッチングのプラットフォームは様々。私たちは6社にヒアリングして自分たちのスタイルに合うものを決めました。事前のリサーチは大事だと思います」と吉原主査。棚卸では事務処理の煩雑さも課題として浮かび上がったそうで「商店街単体でのDX化はなかなか難しいもの。届け出の一部を自動化するなどし、区商連としてバックアップしています」と教えてくださったのは河野事務局長。観光について石川係長にメッセージをお願いすると「羽田空港をご利用の際には、大田区にぜひお立ち寄りいただき、地域の商店街ならではの魅力を感じていただきたいです」と答えてくださいました。
区と手を取り合いながら、商店街が自立、継続していけるような施策を追求している大田区商店街連合会。今後のアイデアにも期待が高まります。

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商店街の皆様へ 大田区ホームページ※掲載の情報は2025年3月時点のものです。