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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
88

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墨田区の京島地区は、奇跡的に震災の被害や戦火を逃れたエリア。令和に至っても大正時代や昭和時代の佇まいが残っている、どこか懐かしい雰囲気のある地域です。一方、空を見上げると東京スカイツリーが目に飛び込んでくるという、「THE 東京」という景色を楽しめる場所でもあります。
そのような京島地区に「向島橘銀座商店街協同組合」を結成したのは1960年のこと。アクセスは京成線「京成曳舟」駅より徒歩7分と駅前に広がる商店街ではありませんが、地元密着型の商店街として発展。1985年には「下町人情キラキラ橘商店街」という愛称が付けられました。2014年には経済産業省「がんばる商店街30選」にも選ばれましたが、駅前に大型商業施設が建つなどして、空き店舗問題に悩まされるようになります。
本商店街においては、空き店舗の活用やイベントの開催などについて、2018年に一度取材をさせていただきましたが、今回はそれらの現状や商店街の意義などについてお話をお聞きしてきました。
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今回お話を伺った、大和和道事務局長。「商店街は近隣小学校の通学路になっているので、朝夕はにぎやかなんですよ」と笑顔で話してくださいました。
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平日の商店街の様子。2つのスーパーマーケットを誘致したことで、ほかの店舗の利用客数も安定してきたとのこと。
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商店街内にある看板。店舗名や場所だけでなく、取り組みやイベントのお知らせ、SNSの二次元コードも。商店街のオールマイティな掲示板のような役割を担っています。
現在の会員数は77店。最近は、メイン通りよりも脇道にある店舗の加入が増えているとのことです。空き店舗の状況について伺うと、「空き店舗はありますが、貸し店舗にできない物件が多いというのが悩ましいところです。オーナーが店舗の2階に住んでいて、出入り口は1階の一カ所のみ。つまり、誰かに貸すと自宅に入れなくなってしまうんですね。そのような中でも常に模索はしていて、2025年2月1日には、電気屋さんだった物件をコワーキングスペースとしてオープンさせました」と大和事務局長。以前伺った、介護相談ができるカフェ「すみまめカフェ」についてお聞きすると、「責任者が介護の仕事で忙しくなり、現在はパートの方が協力してくださっています。お子さんが小さい方なので、無理のない範囲で続けてもらえるようにしていますね。商店街というと何か物を売らなきゃいけないという偏った思考に陥りやすいですが、これからは小さな物販店は難しいです。地域に根差した商店街だからこそ『地域に必要な店や場所づくりを』という視点でも、空き店舗の活用方法を考えています。福祉施設やコワーキングスペースはまさにこの視点に基づいたもの。少し前、スーパーマーケットを誘致する際には反対意見もありましたが、高齢者にとって、生活に必要なものがひとまとまりになっている、フラットな売り場はとても魅力的。これが近所にあればお買い物にも出てきやすいですし、ついでに商店街のお惣菜を買っていこう、となるわけです。結果、お客さまにも商店街にもメリットが生まれます」と語ってくださいました。

墨田区の「商店街コワーキングスペース等創出事業」を活用し、向島橘銀座商店街協同組合の一事業に。
事業運営はリベレ、一般社団法人つながる橘が事業協力をしています。
向島橘銀座商店街で特徴的なのは商店街を応援する「キューピッドガールズ」の存在。東京スカイツリーがオープンした年に結成したアイドルグループですが、時を経て、メンバーは母親になったり主婦になったりと、当初とは環境が大きく変わりました。現在は、そのうちの1人が組合の運営にかかわっています。いわゆる商店街の重鎮目線ではなく、消費者目線でさまざまなイベントを企画、実施できているのは、キューピッドガールズの力がなければ成しえなかったとのこと。理事会での風通しのよさも生み出してくれているそうです。 ほかにも、千葉商科大学の学生ボランティアなど、若い人の力は、向島橘銀座商店街にはなくてはならない存在となっています。

「つまみぐいウォーク」、「夜市」、「防災イベント」、「ハロウィン」など、年間を通してたくさんのイベントを開催している向島橘銀座商店街。修学旅行生の体験学習の場としても誘致し、学生による物産展に協力されているそうです。「いろいろな場所として使って欲しい」と大和事務局長。一方で、商店街経営という点も忘れてはいけないとおっしゃいます。「商店街の存続には、お金が必要です。お休み処に設けたATMの家賃、映画のロケは有料、コワーキングスペースの収益など、商店街としての収入にも目を向けていないとだめだと思います」。
今後についてお伺いすると「3ケ年計画を立てていきます。そして今年は計画を立てる年です。先を見据えて取り組んでいきたいですね。それから、利用してくださるお得意さまに支えてもらっている、という気持ちは忘れないでいきたいと思います」と、笑顔で語ってくださいました。

自治体リンク
商店街支援 墨田区ホームページ※掲載の情報は2025年2月時点のものです。