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VOL. 87

大島中の橋商店街振興組合編
大島中の橋商店街振興組合
100年以上の歴史がある商店街

江東区大島にある大島中の橋商店街(愛称はサンロード中の橋)。堅川(たてかわ)があることからその周辺に人が集まるようになり、自然と商店が増えていったのが現在の商店街の原型。「中の橋」とは、1918年(大正7年)、地域の有志によって堅川にかけられた橋の名前が由来となっています。
1919年(大正8年)に大嶋中之橋通共和会が発足し、2019年には100周年を迎えたという歴史ある商店街で、生鮮三品、お惣菜、衣料など幅広くお店が揃っています。現在の組合員数は約90店となっており、チェーン店よりも古くから商売をしている個人店が多い点が特徴。毎日15~20時は車両通行止めにし、「安心・安全に買い物ができる商店街」を実現しています。
今回は、振興組合が企画・運営する「ティラノサウルスレース」や「ハロウィンイベント」、振興組合事務所の1階に設置された24時間営業の特産品自動販売機などについてお話を伺ってきました。

  • 大島中の橋商店街振興組合
    今回お話を伺った、近藤裕弘理事長(左)、内藤喜三郎副理事長(右)。 お2人とも大島で生まれ育ったとのことで、「店主同志、幼馴染みが多い商店街です」と教えてくださいました。
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    吉川酒店に残されていたという共和会創立第一回の会合時とされる写真。※1919年(大正8年)撮影
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    駅ではなく、川があることで発展した地域密着型の商店街。組合への加入率は約90%となっており、土地と建物のオーナーが同じという店舗が多いそうです。
インパクト大の「ティラノサウルスレース」を開催

夏祭りやハロウィン、ビックリ市など様々なイベントに取り組んできたという大島中の橋商店街。「インパクトのあるイベントが子どもたちの思い出となって、大きくなっても大島に帰ってこようという気持ちにもつながれば」という思いで続けてこられたそうです。
そのような中、2023年からハロウィンイベントには「ティラノサウルスレース」を取り入れたとのこと。これは、参加者がティラノサウルスの着ぐるみを着用してレースを行うというインパクト大のイベント。YouTubeを見ていたところ、鳥取県大山でこのレースが開催されたことを知り、「面白いから大島でもやってみよう」となったそうです。商店街では広さが不足しているため、開催場所は大島小松川公園とし、初年度は約70体、2年目となる2024年は313体のティラノサウルスが集結して熱いレースを展開。その後は着ぐるみを着たまま商店街へ移動し、ハロウィンイベントに参加する出場者もいたそうです。「こういったイベントがきっかけで、海外や区外の人が街にやって来てくれます。商店街のお店を見てもらって新たなファンにつながればいいです」と、イベントに期待する効果について語ってくださいました。

大島中の橋商店街振興組合
大島の「ティラノサウルスレース」は、日本ティラノサウルス競技連盟公認のレース。 成獣オス、成獣メス、幼獣の3部門があり、それぞれで1位を目指します。 毎年10月の最終日曜日に開催しているそうなので、 興味のある方はぜひ参加を。
24時間営業の特産品自動販売機コーナーを設置

大島中の橋商店街振興組合事務所の1階にあるのが、24時間営業の特産品自動販売機コーナー。2022年10月2日にオープンしたこのスポットでは、銀座にあるアンテナショップなどと提携し、日本各地の特産品を販売しています。商品は入れ替え制で、コストコ商品の取り扱い実績もあるそうです。
特産品を販売している地域のことを知ってもらうという目的だけでなく、商店街の食品ロス問題の解決策になればという点など、多方面からの実証実験も兼ねているそうです。
さらに、地域のお知らせポスターや地域内で活動する団体のパンフレットなどが配置され、観光案内所のような役割も果たしています。

大島中の橋商店街振興組合
商店街のキャラクター「なかたん」がお出迎え。
おもしろいと思ったことはまずやってみる。これからも手作りのイベントにこだわりたいです

最後に今後についてお聞きすると、「車両通行止めの時間を設けているだけでなく、コロナ禍では『危機管理ガイドライン』を1冊のパンフレットにまとめるなど、その場その場で対応を徹底していきました。これからも、安心・安全な環境作りは絶対ですね。イベントに関しては、『おもしろいと思ったことはまずやってみて、そこからいいのか悪いのかを判断する』という姿勢は変えずにやっていきたいです。また、20年前と比べると商店街の立ち位置や売上、世間の価値観は大きく変わってきました。そういった中でも、『地元』という視点は外したくなく、自分たちが責任をもってできる手作りのイベントを続けていきたいです。つまり、主体でできなくなってしまったら止めるしかないかなと思っています。止めないためにも、インパクトのあるイベントを続けて、会員さんに魅力を発信して商売を続けたいと感じてもらったり、新たにここで商売をしたいという人が増えてくれたりしたらいいですね」と語ってくださいました。
夕方には、お惣菜店に列ができ、買い物を終えた人たちが家路を急ぐ姿や自転車でお店をはしごする人が多く見られるなど、子どものころに見ていた懐かしい風景に触れた気がしました。イベントや日常の地元風景を通して、地元を懐かしく思い出せるようなきっかけを商店街が担っていることに、改めて気付かされた取材となりました。

大島中の橋商店街振興組合
商店街の名前の由来となった中の橋(現在は旧中之橋)方面から臨む商店街。
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※掲載の情報は2025年1月時点のものです。