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VOL. 86

神楽坂商店街振興組合編
神楽坂商店街振興組合
坂道に軒を連ねる商店街

東京メトロ東西線「神楽坂」駅の神楽坂口を出てすぐの場所に広がる神楽坂商店街。古くから門前町として商店が並んでいたエリアでしたが、1946年(昭和21年)2月、神楽坂6丁目に「大神楽坂商業協同組合」を設立し、1983年(昭和58年)には「神楽坂商店街振興組合」として法人化しました。
坂道に沿って商店が軒を連ねているというめずらしい商店街で、日曜日と祝日の12~19時は商店街の中心を通る「神楽坂通り」(早稲田通り)が歩行者天国になります。平日は地域の買い物客が多く、休日は地域外から足を運ぶ人の姿が目立ちます。最近は、観光地としても注目されており、海外からの観光客が行き交う様子が見られています。
今回は、毎年開催されている「神楽坂防災ふれあい広場」や様々なイベント、商店街のあるべき姿について、横倉泰信理事長にお話を伺ってきました。

  • 神楽坂商店街振興組合
    今回お話を伺った横倉理事長。 神楽坂で生まれ育ち、商店街の移り変わりをご自身の目で見てこられました。
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    電線が地中化されたすっきりとした街並み。同じタイミングで新装された街路灯が、商店街の象徴的な存在ともなっています。
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    植田まさし先生が近所にお住まいというご縁で、商店街内にはコボちゃんの銅像が。女性部の方たちが、季節や行事に合わせて着せ替えをしているそうです。
毎年11月に開催している「神楽坂防災ふれあい広場」

2024年(令和6年)11月で、第27回を迎えた商店街主催の「神楽坂防災ふれあい広場」。牛込消防署の協力を得て行われるこのイベントは、初期消火体験、はしご車乗車体験、ミニ消防車乗車体験、地元の中学生によるミニ防災コンサートなど、楽しみながら防災を学べるイベントとして、地域ではすっかり定着した秋の風物詩です。「これまでは、非常用保存食の『アルファ米』にカレーをかけた炊き出しをやっていたのですが、『災害時にカレーって作れるかな…』となり、今年からは、アルファ米の五目ごはんの試食会に変更したんですよ」と横倉理事長。イベント開催の趣旨をお伺いすると、「イベントは、阪神淡路大震災の翌年から開催しています。近年は、南海トラフ地震や首都直下型地震の発生も懸念されており、万全の備えが必要なのは間違いありません。若い世代が関心を持つことが重要であり、かつ、神楽坂商店街のような来街者の多い商店街で、家族で楽しめるようなイベントを実施することは、防火防災の啓発活動として、効果的と考えています」と答えてくださいました。
この長年の活動とその功績が認められ、2024年(令和6年)11月14日には、東京消防庁予防部長より、感謝状が贈られたとのことです。

神楽坂商店街振興組合
AEDの操作を実践する親子連れ。 当日は消防署員の姿もあり、プロに直接質問ができるという点も このイベントの特徴。
年間を通して様々なイベントを開催

「防災ふれあい広場」以外にもたくさんのイベントを開催している神楽坂商店街振興組合。最近はYouTubeを見たという外国人が、10月に行われている「神楽坂化け猫フェスティバル」に参加することも多いのだそう。パレードへの参加条件は、「猫をテーマに仮装していること」、「仮装姿を写真にとられてもOKな人」。猫版・阿波踊り「あにゃ踊り」、「メイクサービス」なども合わさって、商店街が猫一色になるイベントです。
また、11月に開催されているのが「ドーンと福井in神楽坂越前・若狭まつり」。江戸時代、小浜藩の江戸屋敷が神楽坂周辺(矢来町)にあったことから、ゆかりの地として福井をテーマにしたイベントを開催しています。福井の味が楽しめるほか、その文化にも触れられる内容で、毎年多くの来街者で賑わいを見せています。

神楽坂商店街振興組合
沿道も人がいっぱいの「神楽坂化け猫フェスティバル」の様子。
商店街の在り方、運営について考える時

最後に、商店街のあるべき姿についてお伺いすると「おかげ様で空き店舗がない商店街です。でも、店舗が商店街に求めるものが変わってきています。昔は、横のつながりがあってこその商店街でしたが、今は商店街がバックアップしなくてもSNSを使えば個店ごとに集客ができてしまいます。そんな中でも、イベントをやって人を呼んで、とやっていますが、これでいいのか?と戸惑いがないわけではありません。イベントが果たして長期的な売り上げに直結するのかも疑問です。私たちはある意味井の中の蛙なので、企画力、運営力、マネージメント力を兼ね備えた団体や有識者が、日本の商店街をあるべき姿へ導いてくれるような時代になってきたのではないでしょうか。ここに気が付かないと、商店街はただの店舗が集積した場所になってしまいます。今はここが大きな課題であり、転換期を迎えていると思います」と横倉理事長。スーパーマーケット、大型ショッピングセンターなどの台頭で、消費行動が目まぐるしく変わった昭和から令和。商店街というグラウンドに、どう消費者を収容するか、商店街のブランディングや立ち位置を見直すタイミングにあると感じさせられた取材でした。

神楽坂商店街振興組合
どのイベントも多くの来街者で賑わっているとのこと。 「ここから、どうつなげていくかが課題です」と横倉理事長。
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※掲載の情報は2024年12月時点のものです。