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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
85

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JR線や西武池袋線などが通る「池袋」駅西(北)口にある「池袋平和通り商店街」。
デパートやオフィスビルが立ち並ぶ駅前から商店街入口まで徒歩3分の場所に立地する庶民的な商店街で、終戦を迎えた翌年の1946年(昭和21年)5月、栄通り、西原通りが合併して誕生しました。その後、1968年(昭和43年)5月に「池袋平和通り商店街振興組合」が発足。現在は、川越街道までの約560mの間にお店が並んでいます。
特徴的なのは、商店街の中に「森」があること。この森は、林政学者島田錦蔵の屋敷跡地を豊島区が買取り、「豊島区立池袋の森」(以下「池袋の森」)として1997年(平成9年)に開園したもので、商店街の活性化にも一役買っています。
今回は、令和5年度「未来を創る商店街支援事業」の支援対象商店街となった本商店街の、これまでの取り組みや今後についてのお話をうかがってきました。
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今回お話を伺った幸田邦章理事(左)、岸本明理事長(右)。取材には羽田崇理事、山田米秋理事も同席してくださいました。
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池袋平和通り商店街の原型となったとされるのは、江戸時代、池袋村の中心を通る「ぞうしがや道」と「いたばし道」に沿って建っていた家々とのこと。将軍吉宗公にまつわる「折れ大根」という民話も伝承されています。
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駅前の喧騒とは違う、落ち着いた雰囲気がある商店街。「池袋の森」まで緩やかな下り坂になっているとのことで、約1.8mの高低差があるそうです。
モール化事業とは歩道の拡張、デザイン舗装、街路灯などを設置し商店街を遊歩道のような空間にリニューアルする取り組みの総称。池袋平和通り商店街では、この事業を1989年(平成元年)に実施し、カラー舗装、街路灯(46基)やゲートアーチ(2基)の設置を行いました。総額1億3,500万円をかけたこの取り組みにより、商店街の空間が単に買い物をする場所ではなく、暮らしの場、憩いの場として大きく変貌。ガードレールの設置は難しいことから地面にラインを引き、来街者が安全に歩けるスペースを確保したそうです。
毎年10月に実施してきた「秋の大感謝祭」は、モール化された1989年(平成元年)に第1回目が開催されました。このイベントは、今では商店街の通りだけでなく、「池袋の森」も活用。ポニーを呼んで、えさやりや乗馬体験ができるコーナーを設けて、子どもたちに楽しんでもらっていました。「池袋にこんなに自然豊かな場所があって、こんな体験ができるんだ」と、驚きの表情をされている方もいらっしゃったそうです。
なお、「池袋の森」は豊島区緑地課が管轄する施設ですが、理事のメンバーが「池袋の森を考える会」に入ることで、商店街との関わりを持っています。

商店街の歴史や魅力、「池袋の森」、また夢を持って頑張っている人の情報を積極的に発信していこうという思いから、ネットラジオの開局を決定。現在は2025年(令和7年)開局に向けて、実験的にYouTubeを利用しながら約15分の番組を放映しています。メインのパーソナリティは岸本理事長。この地で生まれ育ったというご自身が見たり感じたりしたこと、また、さまざまな資料を読み解いて定着された知識をもとに、やさしい語り口調で番組が進行していきます。ゲストへの質問も慣れていらっしゃる様子です。
「いけ❤ピースタ」は、「池袋ピース(平和通りの平和)スタジオ」の略。「収録時は15分に収まらないくらい喋ってしまいます」という岸本理事長です。

理事長に就任されて10年。商店街や街の活性化に向けて、令和5年度「未来を創る商店街支援事業」の支援を受けるなどしてこられましたが、理事の高齢化に直面している点は否めないとのことです。「これまでイベントは理事を中心に開催してきましたが、その力だけに頼るのが難しくなってきました。企画していたイベントを中止しなければならないことも出てきています。これからは、若い人の力を借りたり、新しい企画を考えてくれる外部の人を見つけたりして、違った切り口でやるということも考えていきたいと思っています」と岸本理事長。柔軟な考えをお持ちで、好奇心に満ち溢れる岸本理事長の熱量で、時代にあった商店街が形成されていくことでしょう。

※掲載の情報は2024年11月時点のものです。