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VOL.
84

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JR「三鷹」駅北口周辺に広がる、13商店街、約700店からなる武蔵野市中央地区商店連合会。1987年(昭和62年)に地区内にある商店街の結束を目指して「中部地区連絡協議会」が発足し、今の名称に変更したのは2008年(平成20年)のこと。名称変更のタイミングで公式キャラクターを公募し、「むチュー」が誕生したのもこの年です。以来、すっかり連合会のアイコンとなった「むチュー」は、イベントやキャラクターグッズ、公式SNSなどを通して、地域の人たちに親しまれています。
今回は、第18回東京商店街グランプリの応募事業「むチューdeデジタルスタンプラリー」を導入したいきさつや、今後力を入れていきたいイベントなどについて、語っていただきました。
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今回お話をお伺いした、(左から)事務局 小山美帆さん、藤田宜久会長、事務局 大野鷹さん。
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最寄りとなるJR中央線「三鷹」駅。「三鷹」駅の北口は三鷹市ではなく、そのほとんどが武蔵野市に属しています。
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着ぐるみも登場している「むチュー」。武蔵野市の「武(む)」、中央地区の「中(チュウ)」が由来です。
「長い間、武蔵野市から助成金をもらって紙のスタンプ事業を行っていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、非対面、非接触が求められるようになり、世の中的に紙のスタンプは好まれないようになってしまいました。さらに、若いお客さまは紙で貯めるスタンプに魅力を感じないらしく、その点も気になっていたんです」と藤田会長。このような中、助成金を使った別の事業を考えようとなり、当初はキャッシュレス化を検討されたそうです。しかし、約700店も加盟する商店会では、キャッシュレス化に苦手意識を持っている店主も少なくありません。
そこで、コロナ禍で開店できない飲食店、アルバイトをする機会がなくなってしまった学生を取り入れたデリバリー事業「むチューdeデリバリー」を試み好評を得て大忙しとなりますが、役員は日夜手弁当で働くようになり、疲弊してしまったそうです。デジタルツールなど構築もできない状態で続けており、受注や管理は人間の手によるものでした。

盛況だったデリバリー事業でしたが、手がまわらなくなり事業の閉鎖を決断。そのような中、三鷹駅北口でWEB関連の会社を経営する大野氏が商店会事業への参加を希望されます。「会社を立ち上げたばかりで事業を広げたいと考えていた中、デリバリー事業の閉鎖を耳にしました。顧客もついているようだったので、引き継ぎたいと考えたんです」と大野氏。結果、デリバリー事業の存続には至りませんでしたが、大野氏により非対面、非接触で実現可能な「むチューdeデジタルスタンプラリー」の提案があり、実施することになりました。
このスタンプラリーは、POPに記載してある二次元コードをスマートフォンで読み取り、商店会を回遊してもらうというもの。読み取るとポイントが加算され、2023年の実施概要を例に挙げると、5ポイントごとに抽選へ参加できる仕組みとなっています。賞品には、加盟店で使える「むチューギフト券」のほか、「Amazonギフト券」を用意。ほか、13商店街を全てまわると応募資格が得られる「13商店街コンプリート賞」では、会員店舗のお菓子詰め合わせが10名に当たります。顧客にとっては、広く巡ってもらうことで、知らなかった店舗との出会いが生まれるなど、新たな発見にもつながったようです。
デジタルイベントのため、すぐに集計できるというのも大きなポイント。効果検証や分析が迅速かつ手間をかけずに行えるので、今後に向けた対策も取りやすくなります。集計後は、1,000人を超える参加者の多くが近隣の住民ということが分かり、訴求したかったターゲットへイベントが浸透していることが明確になった点が収穫にもなりました。

現在は事務局の業務を大野氏の会社にアウトソーシングすることで、役員が疲弊することがなくなりました。また、WEBのノウハウがある若い層が入ったことで、これまでのつながりと若い力や知識が上手に組み合わされ、相乗効果が生まれています。
大野氏は、連合会だけでなく、理事や役員の担い手がいない商店街の事務局業務も担っています。理事の高齢化や不在によって、商店街の組織が崩壊してしまうケースが頻出している昨今、「事務局業務を地域の企業にアウトソーシングする」という事業モデルは、今後商店街が存続していくために、需要が高まってくるように感じます。
他にも、子どもたちが並べたキャンドルが街を彩る「むチューキャンドルナイト」を実施するなど、新たな事業の企画に余念がありません。
今後も、新たなことに取り組み続ける武蔵野市中央地区商店連合会。どのような相乗効果が生まれるのかが、楽しみに思える取材となりました。

※掲載の情報は2024年10月時点のものです。