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VOL. 69

方南銀座商店街振興組合編
方南銀座商店街振興組合
地域とのつながりを大切にしている、中野、世田谷、渋谷区に隣接する商店街

東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅を出てすぐのところにある方南銀座商店街。1953年(昭和28年)に方南銀座商店会が発足し、1966年(昭和41年)に方南銀座商店街振興組合として認可されました。方南通り沿いはアーケード商店街となっており、天候に関係なくお買い物ができます。2023年(令和5年)6月現在の加盟店は138店。八百屋、手芸店、飲食店など様々な種類のお店が並んでいて、中には3代目が切り盛りしているお店も。地域とのつながりも盛んで、各種イベントや集えるスポットなどでは多くの交流が生まれています。今回は、10代目の理事長である新井清市さんに、方南銀座商店街のイベントや地域とのつながりなどについて語っていただいたほか、方南町の新たなアイコンとなるべく、方南町ビールプロジェクト実行委員会(方南銀座商店街、ふるさとネッツ、一般社団法人ビーンズ)により設立された、「方南ローカルグッドブリュワーズ」で働く皆さんにお話を伺いました。

  • 方南銀座商店街振興組合
    今回お話を伺った新井理事長。手芸店「くるみや」の2代目でいらっしゃいます。
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    近隣の小学校などから募集したタペストリー作品。色とりどりの約100点が商店街を華やかにしています。
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    個人店やナショナルチェーンが並ぶ商店街。一本入った中央通り沿いにある店舗は家族経営が多いとのこと。
個性的なイベントで商店街や街に活気を

駅からのアクセスも良く、多くのお店が立ち並ぶ商店街ではあるものの、後継者問題などでその姿は時代とともに形を変えてきているとのこと。「商店街なので、発足当時は1階が店舗で2階以上が住居という街並みでしたが、後継者がいなくなると店舗を取り壊してマンションに建て替えるという場所も増えてきました。1階をテナントにするのではなく、1棟まるごと住居というマンションもあり、店舗と住まいが混在しています」と教えてくださった新井理事長。そのような中でも、商店街として何ができるかを常に模索され、商店街のお店だけでなく、地域の団体も参加可能な「方南町日曜まつり」、特設ステージでのエイサー演舞や露店、夜はディスコで盛り上がる「HONANエイサー&ミュージックフェス」など、年間を通じて多くのイベントを開催し、地域とのつながりを大切にされています。特に、夏に開催する「方南スライダー」は個性的。これは、商店街の坂に40メートルのウォータースライダーを設置するという他では見たことも聞いたこともないイベントで、毎回多くの子ども達の歓声でいっぱいになるそうです。

方南銀座商店街振興組合
2022年8月に開催された「HONANエイサー&ミュージックフェス」の様子。エイサー以外にも、アロハ、バトン、ダンス、ライブと演目は盛りだくさん。
「方南銀座商店街 町おこし隊」は商店街の強い味方

商店街の理事だけで、運営やアイデア出しをするのは難しいとおっしゃる新井理事長。そこで商店街のイベントやその運営などに関わってもらうボランティア団体として「方南銀座商店街 町おこし隊」を発足。随時メンバーを募集し、力を貸してもらっているそうです。「メンバーの属性で多いのが、土日休みのサラリーマンや若い方。私たちとは違う発想や思考があり、SNSなども彼らが運営しているんですよ。イベントの企画をやってくれる方もいて、頼りになりますね。また、商店街内にある子ども達の遊び場『駄可笑屋敷(だがしやしき)』の運営は大学生がやってくれているんです。こちらからお願いしなくても、卒業したら後輩へ引き継いでくれるので助かっています」と、地域とのつながりやそのメンバーへ抱いている感謝の気持ちを話してくださいました。

方南銀座商店街振興組合
下校中の小学生と談笑する「駄可笑屋敷」の学生ボランティア。
方南町の新たなアイコンに。クラフトビールの醸造・販売所をオープン

様々な活動をしていく中、昨年方南町ビールプロジェクト実行委員会(方南銀座商店街、ふるさとネッツ、一般社団法人ビーンズ)を発足させ、商店街の中央通りにクラフトビールの醸造・販売所「方南ローカルグッドブリュワーズ」をオープン。障がいのあるスタッフが、クラフトビールを方南町の新たなアイコンとすべく、醸造やラベル貼り、接客、運営を一手に担っています。スタンダードなクラフトビールは4種類あり、季節ごとに変わる柑橘系の味は、親交のある松崎町(静岡県賀茂郡※伊豆半島南西部の海岸沿いに位置)産のポンカン、はっさく、サマーオレンジなどを使ったもの。タップから提供するクラフトビールは日替わりで1杯500円(税込)となっています。「販売だけをしているわけではないので、製法や醸造のコツなどもお伝えできて、お客さまとの会話がはずみます」とおっしゃるのは、実行委員である一般社団法人ビーンズの塩田さん。看板娘として活躍されている伊藤さんは、「試飲しておいしいとうれしい」と笑顔で語ってくださいました。
現在は、この店舗や商店街のイベント、商店街内の飲食店などで提供していますが、今後は他エリアで行われるビアイベントなどにも積極的に参加し、幅広く発信していかれるとのこと。「障がい者が活躍できる場を広げていけたら」という思いがあるそうです。

方南銀座商店街振興組合
1本680円(税込)で販売。ロゴにある「途切れている線路」は、方南町が丸ノ内線の終点ということを表しているのだそう。醸造所は店舗の裏手に位置しています。
地域やボランティアとともに

店主の高齢化や後継者不足、大型店の出店などによって、商店街の在り方は大きく変わってきました。振興組合へ未加入の店舗があるなど課題もあるそうですが、「方南ローカルグッドブリュワーズ」のスタッフである塩田さんが、「こんなにあったかい場所はない」とおっしゃっていたのが印象的でもありました。
今後は、商店街のメンバーや地域住民、ボランティアと共に、これからの時代にふさわしい商店街が形成されていくことでしょう。

方南銀座商店街振興組合
方南銀座商店街マップを手に、お散歩をしてみるのもおすすめです。
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