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VOL. 66

桜新町商店街振興組合編
桜新町商店街振興組合
サザエさんが迎えてくれる、温かな雰囲気が特徴

東急田園都市線「桜新町」駅を最寄りとする「桜新町商店街」。地下化された東急田園都市線の線路の上を通る道路沿いにある「駅前通り」と、駅前通りの交差点から国道246号まで続く「サザエさん通り」が桜新町商店街です。商店街らしき街並みが形成されたのは1932年(昭和7年)ぐらいとのことで、その後、1951年(昭和26年)に「桜新町商店会組合」を設立。1971年(昭和46年)には「桜新町商店街振興組合」が設立し、法人化を果たしました。

1985年(昭和60年)に「長谷川町子美術館」が開館したことがきっかけで、1987年(昭和62年)に美術館へ至る道を「サザエさん通り」と命名。全国から注目されるきっかけともなり、今では銅像やサザエさんマーク、アニメのテーマソングなどが来街者を温かく迎えてくれます。また、「桜新町さくらまつり」、「桜新町ねぶたまつり」など、地域住民や関係団体と一体になって行われるイベントを開催しているなど、活気に満ちあふれた商店街です。
今回は、商店街の歴史などのほか、2022年「未来を創る商店街支援事業」に採択された取り組みについて、大塚龍史理事にお話を伺いました。

  • 桜新町商店街振興組合
    地名の由来ともなっている桜。駅前通りを彩る5種類の八重桜は、4月中旬あたりが見ごろです。
  • 桜新町商店街振興組合
    カップやタオルなど、美術館と振興組合が企画したサザエさんグッズも豊富。店舗や商店街振興組合事務所などで販売し、収益は商店街活性化のために活用しているとのこと。
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    今回お話を伺った大塚理事。就任されて3年ほどとのことですが、さまざまなことへ精力的に取り組まれています。
全国に先駆けて、集団就職の受け入れを実施

高度経済成長期に、日本で初めて集団就職を受け入れたと言われている桜新町商店街。初回は1955年(昭和30年)で、新潟県から53名、千葉県から3名を採用したそうです。目的は、「商店街の組織化」、「商店の就業規則の確立」、「宣伝活動に力を入れる」という点。お客さまへのより良いサービスを追求すると、家族経営の商店などはどうしても店主やその家族が過重労働となってしまいます。「お客様ファーストだけでなく、労働者の労働環境も考えないと長く続けられない。そのためには労働力が必要」という思いから、1952年(昭和27年)ごろから準備を始め、約3年で実現しました。受け入れ後は、集団就職で入店した店員にも配慮し、「さくらんぼの会」を結成。親元を離れて上京し、寂しい思いをしている店員を集めて、教養講座や商店街の早朝清掃のほか、日帰り旅行やフォークダンスなどのレクリエーションを通して親睦を深め、一人でも挫折してしまう店員を減らそうと努力したそうです。

桜新町商店街振興組合
中学校を卒業し、集団就職をするために上京した若者と、彼らを迎える商店街のメンバー。上京した若者の中には、住み込みで働きながらノウハウを蓄積し、のれん分けして独立した人もいるそうです。
地域住民に寄り添った、情報発信基地(ハブ)の機能を持つ商店街へ

「商店街にはさまざまな課題がありますが、それらをクリアしながら次世代へいい形でバトンタッチしていきたいと思っています。そこで桜新町の人たちに街に対する想いをヒアリングし、理事の考えだけに偏らないよう気をつけながらビジョンを掲げ、共有しています」と大塚理事。未来を創る商店街支援事業では、重要なことを「つながること」とし、商店街が地域の情報や交流のハブとして機能できることを目指すことにしたそうです。また、地域の各団体や地域住民とつながるためにはそのメリットを提供できないと難しいと考え、「情報発信」、「イベント場所」、「交流の場」などを商店街が提供することで、「桜新町商店街とつながっていたい」と感じてもらえるようにしていくとのこと。具体的には、商店街だけでなく外部団体が出店できる「イベントの運営」、案内所、休憩所や各団体が発行している紙媒体の設置スペース、防災設備などを設けた「街ステーションの設置」、街内に設置(3カ所、5台)する「デジタルポスター」への広告出稿などです。これらの新しい取り組みが、2022年の「未来を創る商店街支援事業」に採択され、一気通貫で3年間の伴走支援を受けられることとなりました。令和7年の春までに、これらの事業完成を目指します。

桜新町商店街振興組合
街のところどころにある、サザエさんのイラストがほほえましい印象。現在ある商店街振興組合事務所は建て替えが決まっており、地下1階、地上3階の街ステーションとして生まれ変わります。
多くのつながりが、変化をもたらす

「これらの取り組みを続けていくことで、3年後には、『地域情報が気軽に手に入る街』として認知されたり、街ステーションが有効活用されたりして、もっと街の魅力が増していって欲しいです。また、人と情報が集まる街となり、ここで起業したい、商売を始めたいという人が出てくることも期待しています。地域の方がボランティアに参加しやすくなるなど、地域住民とのつながり方も大事にしていきたいですね」と大塚理事。さらに「核家族化が進んでいますが、サザエさん一家のように、「子育てについて3世代が上手に関わりあう」そんなことを考えられる地域社会になるといいなとも思っています」とのこと。新たな取り組みには終わりはなく、地域密着型のアプリ開発も想定しているそう。桜新町商店街が地域のハブとなって、多くのつながりが生まれ、それが変化をもたらす・・・。未来の桜新町商店街の姿に期待がふくらみます。

桜新町商店街振興組合
2023年4月9日に行われた「第34回桜新町さくらまつり」のチラシ。やくみつるさんのイラスト、水前寺清子さんのオンステージなど、桜新町在住の著名人がさまざまな形で街の活性化に貢献しています。
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