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VOL. 64

中野サンモール商店街振興組合 編
220メートルを超える長いアーケードの下、毎日多くの人々でにぎわう商店街

JR中央本線と東京メトロ東西線が乗り入れる中野駅の北口正面から延びる、220メートルを超える長いアーケード。このアーケードの下に飲食店、衣料品店、ドラッグストアなど、約110店舗が軒を連ねている商店街が「中野サンモール商店街」です。
たいへん乗降客数の多い中野駅の駅前にあって、雨の日でも快適にお買い物ができるこの商店街には、毎日たくさんの人々が訪れて昼夜を問わずにぎわいを見せています。また、この商店街では自慢のアーケードを利用し、年間を通して季節感、芸術感にあふれたさまざまな展示物を飾る「空中ギャラリー」が、道ゆく人々の目を楽しませてくれます。去る2022年(令和4年)の11月には、この取り組みが「第17回 東京商店街グランプリ」で優秀賞を獲得しました。
今回は、この「空中ギャラリー」に関することを中心に、現在、大規模な再開発計画が進行中の中野の街における商店街としての展望について、「中野サンモール商店街振興組合」の本橋毅事務局長にお話をお伺いしました。

  • アーケード下の通りに沿って多くの店舗が建ち並ぶ中野サンモール商店街。平日でもおよそ4万人の人々が訪れます。
  • スマートフォンからも映像が確認できる防犯カメラを33台も設置。安心してお買い物ができる環境を整備しています。
  • 商店街の入り口に立つ本橋事務局長。2020年(令和2年)の9月から現在のポストに就かれています。
小さな子どもの小さな一言から始まったアーケードの展覧会「空中ギャラリー」

中野サンモール商店街のアーケードは、両側に店舗が並ぶ通りの上を屋根がすっぽりと覆う、いわゆる全蓋式のアーケード。外光を採り入れた明るい構造で、高さもあり閉塞感がなく、開放的な空間を演出しています。「空中ギャラリー」は、まさにこの特長を活かしたもの。その誕生のきっかけは、組合員のお子様の「商店街に絵を飾りたい」という言葉でした。アーケードから吊り下げる形で飾れば、人々が商店街を歩く楽しみを増やすことができるのではないかと考えたそうです。
こうして1999年(平成11年)にスタートしたのが、現在は5~6月の展示となっている「空中ギャラリー」。中野区内の小学校、中学校の生徒たちが描いた大きな絵がアーケードに飾られます。毎回、レベルの高い作品が集まり、商店街を訪れるお客様はもちろん、お店で働く人たちも感心しながら鑑賞しています。

2022年(令和4年)の「空中ギャラリー」の模様。それぞれの学校で子どもたちが力を合わせて仕上げた作品は、縦約1.8m、横約2.7mという大きなサイズです。
さまざまな展示物によって、1年を通して道ゆく人々の目を楽しませる商店街に

その後、「空中ギャラリー」は少しずつ広がりを見せていきました。2010年(平成22年)からは、専門的な芸術教育を受けていない人たちが生み出すアート展「アール・ブリュット展」がスタート。この展示は現在、1月の終わりごろから始められていますが、「中野駅周辺を文化・芸術の発信拠点に」との思いから、近隣の商店街が連携して共同で開催しています。
そして、2017年(平成29年)から行われるようになったのが「空中水族館」。これは、毎年「こどもの日」に向けて、中野区内の保育園や小学校に通う子どもたちが作成した鯉のぼりを飾るものです。鯉のぼりが風に揺れる様子がたいへん好評で、鯉のぼりの数は年々増え、2022年(令和4年)には約370匹に上っています。
そのほか、1月の華やかな新年装飾、9月の氷川神社祭礼の装飾なども加わり、中野サンモール商店街のアーケードは1年を通してさまざまな展示物で彩られるようになりました。そこで、中野サンモール商店街振興組合はこの取り組みを「空中ギャラリー」という名称の一事業とし、中野区からの推薦を受けて「第17回 東京商店街グランプリ」にエントリー。その結果、見事に優秀賞の栄誉に輝いたのです。

2022年(令和4年)の「空中水族館」の模様。たくさんの鯉のぼりの中には「おや?」と思ってしまうシークレットもあり、それを探すのも楽しみの一つとなっています。
変わりゆく中野の街で、変わることのないにぎわいを末長くつないでいく

現在、中野駅周辺のエリアでは再開発計画が着実に進行中です。それは、中野サンプラザの一時閉館や中野区役所の移転などを伴う大掛かりなもの。オフィスビルやタワーマンションの建設計画が相次いでいるほか、中野駅に新たに「西口」ができることで、数年後には人々の動線が今のものとは大きく変わってしまうことも予想されます。
このような状況下における中野サンモール商店街振興組合のビジョンを、本橋事務局長にお尋ねすると「再開発計画が完了すれば、私どもの商店街が人々のメインの動線から外れるのではないかという不安があります。このたびの空中ギャラリーの受賞は、そんな心配を払拭するためのよいニュースとなり、商店街の連体感、一体感をより強くしてくれるでしょう。そして、街の様子がどんなに変わっても、いろいろな仕掛けやイベントなどによって中野駅北口周辺を、さらに街全体を盛り上げていきたいと考えています」と語ってくださいました。「空中ギャラリー」をはじめとする取り組みによって、人々の交流拠点、また文化・芸術の発信拠点という存在感をますます高めていく中野サンモール商店街。これからも中野の玄関口として、街のにぎわいを末長くつないでいくことでしょう。

中野のランドマークのような存在だった中野サンプラザは、2029年(令和11年)の開業を目指し、2023年(令和5年)の7月にいったん閉館することになりました。
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