魅力発信コンテンツ
TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
魅力発信コンテンツ
VOL.
61

魅力発信コンテンツ

「若者の街」の代名詞となっている渋谷から東急田園都市線で2駅、わずか5分ほどで到着する三軒茶屋という街は、都会的で洗練された雰囲気の中、どこか昔懐かしい風情も残しています。この街を抜ける国道246号から逆V字を描いて延びる「三軒茶屋栄通り」に沿って、約80もの店舗が軒を連ねる商店街が「三軒茶屋商店街振興組合」、通称「三軒茶屋栄通り商店街」です。
昼夜を問わず人通りが絶えることのないにぎやかな商店街ですが、ここの理事会は理事長をはじめとして約8割が女性で構成されています。このようになったきっかけは2008年(平成20年)ごろのことでした。当時はほとんどが男性だった理事会を刷新するために女性を入れようという動きがあり、まず現在の林福子理事長が加入。次に現在の今泉暁子会計理事が加わり、その後も着実に女性の理事が増えていって今日のようになったそうです。今回はその林理事長と今泉会計理事のお二人に、三軒茶屋商店街振興組合が行っているさまざまな活動についてお話をお伺いしました。
-
三軒茶屋栄通り商店街に一番近い三軒茶屋駅の出口「南口B」。ここを出て3分ほど歩けば、三軒茶屋栄通り商店街に到着します。
-
最近建て替えられた街路灯。デザイン性の高いフラッグが取り付けられ、防犯カメラも設置されています。
-
今回、お話をお伺いしたお二人。
林理事長(左)は2011年(平成23年)から、今泉会計理事(右)は2015年(平成27年)から現在のポストに就かれています。
三軒茶屋商店街振興組合では、女性理事が増えていくにつれて女性部の活動が活発化していったそうです。それを端的に表しているものに、女性部主催のイベント「女性部ほうずき市」があります。今やすっかり三軒茶屋の夏の風物詩となっていますが、もともとは2011年(平成23年)に東日本大震災が発生した際、「被災地のために女性部として何かできないだろうか」という思いから始まったものです。
女性部では、このイベントがスタートした2011年(平成23年)から毎年、被災して住む家や近親者などを失った子どもたちを援助する「びっきこども基金」に売上金の全額を寄付してきました。それから「びっきこども基金」が終了すると、今度は児童養護施設を巣立った若者の進学や社会的自立を応援する「せたがや若者フェアスタート事業」を支援。「びっきこども基金」のときと同様に、売上金の全額を寄付することを続けています。

三軒茶屋商店街振興組合では「女性部ほうずき市」のほかにも、いくつかのイベントが開催されています。代表的なものは、綱引き大会と阿波踊りが行われる8月の「夏祭り」、ミュージシャンたちが集い演奏して子どもたちにお菓子をプレゼントする12月の「クリスマス三茶栄通り音楽祭」など。これらのイベントにおいても女性が運営の前面に立って、大盛況を博してきました。しかし、残念ながら近年のコロナ禍によって、3年ほどの休止を余儀なくされています。そのような中、三軒茶屋駅周辺の商店街の合同イベント「三茶de大道芸」が2022年(令和4年)の10月にいよいよ再開。コロナ禍の前よりも規模を縮小して開催されたにもかかわらず、約10万5,000人もの人々が訪れて大成功を収めました。これをきっかけに他のイベントも再開の気運が高まりつつあり、一部のものに関してはコロナ禍の前よりも規模を拡大して行う予定もあるそうです。

三軒茶屋栄通り商店街には「世田谷キラリ輝く個店グランプリ」で表彰されたうどん店「お山のすぎの子」など、魅力的な店舗が数多く存在しています。さらに最近では、ナチュラル&オーガニックのセレクトショップなど、情報感度の高い若者に訴える店舗が増加中とのこと。また、そのような新しい店舗は、近隣の店舗と連携した独自の販促イベントを行うなど、地域に根ざしたお店づくりに積極的な傾向が強いそうです。
このような商店街の変化を受けて今泉会計理事は「SNSをはじめとしたデジタルツールを使いこなす新しい店舗のバックアップのためにも、また理事会の事務処理を簡素化するためにも、デジタル化の推進は急務です」と話されます。また、今後の商店街のビジョンを林理事長にお伺いすると「近年、周辺に大学が増えたこともあり、より若者受けする商店街にしていきたいと考えています。そのために理事会では今年、青年部を立ち上げました。これからはこの青年部が陣頭に立って、若年層のニーズに応えるさまざまな活動を展開していきます」と語ってくださいました。持ち前の女性の力に、男性も含む若い人たちの力をプラスして、より多くの若者に愛される商店街へ。三軒茶屋商店街振興組合は、今まさに進化の真っ最中です。
