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VOL. 60

天神通り商店会 編
「調布の里の鎮守様」、布多天神社の参道として地域の人々に愛されてきた商店街

東京都のほぼ中央、武蔵野台地の南部に位置する調布市。 都心へのアクセスも快適で自然にも恵まれたこの市の玄関口となっているのが京王線の調布駅です。市の中心街を形成している駅周辺には、先進の大型商業施設やオフィスビルなどが建ち並ぶ一方、古い街並みもまだ残っています。そんな昔なつかしい風景の中に静かに佇んでいるのが、地域の人々の心のよりどころとして親しまれている「調布の里の鎮守様」、布多天神社です。そして、駅のほうからこの神社に続く200メートルほどの参道「天神通り」に沿って、飲食店をはじめとした約45店舗が軒を連ねている商店街が「天神通り商店会」。故水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターたちのモニュメントがあちこちに見られ、妖怪たちに会える商店街としても有名です。
今回は、長きにわたりこの商店街の代表を務められている土田衛会長から、これまでのさまざまな取り組みについてお話をお伺いしました。

  • 調布駅は、京王線と京王相模原線が分岐する京王電鉄の主要駅です。2012年(平成24年)に線路の地下化工事が完了すると、地上の線路跡地に新たな商業施設が誕生し、駅周辺はますますにぎわうようになりました。
  • 布多天神社は多摩地方有数の古社。御祭神は、経営の神、酒造の神、温泉の神、医薬の神である少名毘古那神(スクナヒコナノカミ)、そして学問の神、書道の神、天神様として親しまれている菅原道真公です。
  • 参道の入り口に立つ土田会長。不動産会社の「株式会社平成ビルディング」を経営されていて、趣味のサーフィンは30年以上のキャリアをお持ちの方です。
歴史ある神社の参道にふさわしい美観を求めて、いち早く電線を地中化

布多天神社の歴史はたいへん古く、社伝によれば、第11代垂仁天皇の御代、約1,940年前の創建といわれています。この由緒正しい神社の参道として、参拝客に心地よく歩いていただける美観を求め、天神通り商店会ではいち早く電線の地中化に着手。土田会長が現在のポストに就かれたのが約18年も前なのですが、それ以前に天神通りは電柱が撤去されていたそうです。この取り組みによって、当初の目的であった景観を守ることはもちろん、道幅が十分に確保できて安全性も大きく向上。布多天神社の秋の年中行事である「例大祭」では、天神通りが歩行者天国となってたくさんのお神輿が通りますが、道幅にゆとりが生まれたことでお神輿がより安全に通れて、人々も安心して見物できるようになりました。
また、当時は電線を地中化している商店街は全国的に見ても非常に少なく、先駆けとなった天神通り商店会はこの事業のモデルとして注目を浴びることになりました。実はそのころ、天神通り商店会は隣接する商店街の一部だったのですが、この取り組みが一つの商店街として独立するきっかけになったそうです。

2018年(平成30年)に行われた例大祭の模様。例大祭ではいつも9基前後のお神輿が、天神通りを練り歩きます。
おなじみの妖怪たちに会える商店街として、水木しげるファンの聖地に

調布市には映画のロケ地に適した風景、そしてフィルム現像に欠かせないきれいな水と澄んだ空気があったことから、昭和の初めより映画の撮影所が設立され、昭和30年代には「東洋のハリウッド」と呼ばれていました。
現在も「映画のまち調布」として、市内には角川大映スタジオ、日活調布撮影所という2つの大きな撮影所のほか、多種多様な映画・映像関連企業が40社以上もあります。その中の一つが故水木しげる先生の「水木プロダクション」です。
水木しげる先生にゆかりのある地といえば鳥取県境港市が知られていますが、調布市にも長く暮らされており、2008年(平成20年)には名誉市民にもなっています。生前は、天神通りを歩いているところも見かけられたことから、天神通り商店会では電線の地中化と同じころに、水木しげる先生の作品でおなじみの妖怪たちのモニュメントを設置。それ以降、天神通りは水木しげるファンの聖地として知られるようになりました。今も老若男女を問わずたくさんの人々が訪れて、写真撮影をしている姿がよく見られます。

©水木プロ

妖怪たちのモニュメントは当初、鳥取県境港市に設置されているものと同じブロンズ像にするという案もありましたが、漫画やアニメのイメージを大切にしたいとの思いから、着色されたFRP(繊維強化プラスチック)製になったそうです。
より強く結びついた布多天神社と天神通り商店会が、調布市活性化の起点となる

今後の展開が楽しみな天神通り商店会ですが、商店街としてのビジョンを土田会長にお伺いすると、「水木しげる先生に関する事業はもはや調布市全体のものとなっているのでその部分は市のほうにお任せし、私たちはこの商店街の独自性をもっと伸ばしていきたいと考えています。つまり、それは本来の姿である布多天神社の参道としての存在感をさらに高めていくことにほかなりません。そして、布多天神社とより強く結びつき、一体となって発展していくことで、近隣の地域にとどまることなく調布市全体を活気づけていけると信じています」と語ってくださいました。
原点に立ち返ることで、より魅力的な商店街に生まれ変わろうとしている天神通り商店会。これからも布多天神社との緊密な連携によるさまざまな取り組みを通して、末長く地域の人々に愛されていくことでしょう。

天神通りの中間地点に立つ天神通り商店会のシンボルタワー。古社の参道らしい和テイストのデザインで、提灯には布多天神社の紋章である梅があしらわれています。今後は、天神通りのすべての街路灯を同様の意匠にリニューアルしていく予定だそうです。