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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
56

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東京都の多摩地域北部、都心から約26キロメートルのところに位置する小平市。この市は、ある昔懐かしいもので有名なことをご存じでしょうか。それは「丸ポスト」。最近めっきり目にしなくなった赤い円筒状の郵便ポストのことなのですが、小平市にはまだたくさん残っていて、その保有数は東京都内で第1位。これを記念して、小平駅の近くに建つ「ルネこだいら」(小平市民文化会館)の前には日本一大きな丸ポストの「日本一丸ポスト」が設置されています。
また、小平駅周辺には、小平駅東栄通り商店会、小平駅前ショッピングセンター、ルネウエストロード商店会、ルネセブン街商店会、小平駅北商栄会、グリーンプラザ商店会という商店街がありますが、これらの商店街はこの「日本一丸ポスト」の名のもとに集結。「日本一丸ポスト連合商店会」として、6商店街合同で地域を盛り上げるさまざまな取り組みを行っています。2021年(令和3年)に開催されたSNSを活用した斬新な街歩きイベントでは、各方面から大きな反響を呼びました。今回は、6商店会の代表としてこのイベントを主催した小平駅東栄通り商店会の清水誠会長と、パンフレットの制作やSNSの発信などでイベントを支えている三ツ矢竹輝さんからたくさんのお話を伺いました。
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2009年(平成21年)10月1日に設置された「日本一丸ポスト」。高さが2.8メートルもある巨大な姿から、単なるモニュメントと思ってしまいがちですが、ちゃんと通常の郵便ポストとしても使用されています。
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清水会長のお店「清水理容室」。オープンは1962年(昭和37年)で60年の歴史があり、清水会長は2代目の店主になります。
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三ツ矢さん(写真左)と清水会長(写真右)。三ツ矢さんは、小平市の歌を歌う地元シンガーソングライターとしても活動されています。
現在では先進的と評価されている「日本一丸ポスト連合商店会」による街歩きイベントも、始まったばかりのころはそれほど特徴のあるものではなかったそうです。
地域に子ども向けのお祭りが減っていたことから、何か子どもにアピールするイベントを開催したいという思いでハロウィンとイースターに着目。2017年(平成29年)には第1回となるハロウィンを行い、続いてイースターも実施して大盛況となりましたが、内容については子どもたちに商店街のお店を回ってもらい、ハロウィンならお菓子、イースターならそのお店の商品などをプレゼントするというありふれたものでした。しかし、そのころからあったある一つのねらいについては、イベントが形を変えた今も変わっていません。それは「こども110番のいえ」の周知。実はイベントに参加しているお店には、子どもが不審者に遭遇した場合などに緊急避難場所となる「こども110番のいえ」がいくつもあります。そのお店を子どもに知ってもらい、さらに実際にドアを開けて入店してもらう機会としてイベントを利用しているのです。「せっかく子どもたちがたくさん集まるのですから、お店のPRにとどまることなく、ほかの目的にも有効活用したいと思いました」と清水会長は話します。

その後、コロナ禍の影響を受けてハロウィンはフォトコンテストに変化。一方、イースターのほうは2021年(令和3年)4月に行われた「こだいらイースター2021」から、SNSを駆使した革新的なクイズラリーへと進化しました。「これからの時代、ますますニーズが高まっていくSNSを使って何かできないかとずっと模索していました」と、三ツ矢さんは商店街の皆様とともにSNSの利用へと大胆に舵を切った際の思いを語ります。
「小平駅前まち歩きアドベンチャー 謎解きエッグハント」というサブタイトルがつけられた「こだいらイースター2021」の流れは、まず参加希望者がパンフレットの二次元バーコードからLINE公式アカウントに登録。次に、対象年齢別に用意されたコースを選ぶとクイズが出題され、回答すると表示される小平駅前のお店へ実際に行き、そこでキーワードを見つけてLINEで入力すると次の問題が現れるというものです。そして、すべての謎を解き明かした参加者にはスペシャル賞状が贈られます。クイズ自体はなかなか歯応えのあるもので大人も子どもも夢中になり、イベント期間中はパンフレットを手に歩く親子連れの姿が小平駅前にたくさん見られました。
これを受けて2022年(令和4年)に開催された「こだいらイースター2022」は、「新感覚ナゾ解きまち歩きクエスト KODAIRA QUESTION」、通称「こだクエ」としてさらにバージョンアップ。2年連続で大成功を収めることになりました。

「こだいらイースター2021」の参加申し込みは700人超。これだけでも十分多いのですが「こだクエ」の開催によって累計で1,200人をオーバーしました。これは単純に「こだクエ」の参加者が約500人だったということではありません。LINEで「こだクエ」のファーストクイズを解いた人数は約1,000人だったので、「こだいらイースター2021」からのリピーターも約500人いたことがわかります。また、この人数はあくまでも申し込みの数であり、ほとんどがファミリーで参加していることから、実際の参加人数はその2倍から3倍ほどであったことが想像されます。
2年連続で手応え十分な結果が得られましたが、三ツ矢さんは「このイベントはまだまだ継続中。毎回反省点を見つけて、もっと喜んでもらえるにはどうすればいいかを常に考えています」とさらなるバージョンアップに余念がありません。また、清水会長に今後のビジョンを伺うと「6商店街がまとまっていることはこの地域の大きな強み。しかし、同じ地域内にありながら、6商店街のエリア外のためにイベントなどの取り組みから漏れてしまうところもあります。今は希望があれば参加していただいていますが、やはりこれからの商店街はそんな店舗がなくなるように、線でつながるのではなく円で広がっていかなくてはならないと思っています。地域に活気をもたらし、 安心・安全を実現するには地域全体の連携が不可欠と考えるからです」と答えてくださいました。参加者が街を縦横無尽に歩き回る現在のイベントは、商店街が円で広がっていくためには非常に有効な取り組み。今後は、イベントがバージョンアップするたびに、小平駅周辺の商店街もバージョンアップし、小平という街の未来をますます元気にしていくことでしょう。
