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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
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東急目黒線「武蔵小山」駅の東口を出るとすぐに見えるゲートをくぐれば、そこからおよそ800メートルもアーケードが続きます。ここが1947年(昭和22年)に誕生した「武蔵小山商店街パルム」。1956年(昭和31年)に全長約470メートルの第1アーケードが完成したときには、「東洋一のアーケード」として大きな話題となりました。その後もアーケードは拡張され、現在の長さに至ります。
雨の日でも傘をささずにお買い物が楽しめるアーケードには、飲食店や雑貨、服飾など、さまざまなお店が約250軒立ち並び、中には創業100年を超える老舗もあります。収容台数約125台の駐車場も完備していて車でも出かけやすいことから、地元の品川区、目黒区はもちろん、近隣の世田谷区、港区などからもたくさんの人々が訪れ、毎日にぎわいを見せています。
今回はこの武蔵小山商店街パルムが行っている独自の取り組みについて、武蔵小山商店街振興組合事務局の尾村優太事務長にお伺いしました。
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東急目黒線「武蔵小山」駅の駅前から、中原街道まで続く長いアーケード。換気のため、時間帯を決めて部分的に開放されるようになっています。
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創業100年超のお店の一つで、宝石、メガネ、時計を扱う東京堂。移転して来られたのですが、こちらにお店を構えられてからも70年ほど経過しています。
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今回、いろいろなお話を聞かせてくださった尾村事務長。地域と商店街への愛情にあふれる、まだお若い方です。
武蔵小山商店街パルムの取り組みとして特筆すべきものは何といってもカード事業。クレジットカードのサービスを開始したのは驚くほど早く、1952年(昭和27年)からだといいます。お客様にもっと便利にお買い物をしていただきたいという気持ちからスタートしたそうです。当初はカードではなくチケットの形態でしたが、1971年(昭和46年)からは磁気カード化しています。
以前、クレジットカードをご利用のお客様には、特別なイベントや旅行へのご招待など、お客様還元企画を行っていました。しかし、それだけではクレジットカードをご利用していないお客様への還元ができないことから、1993年(平成5年)にはポイントカードのサービスも始めることにしたそうです。なお、クレジットカードもポイントカードも、お買い物をするとポイントがたまるだけでなく、お客様がお金をチャージして使える電子マネー「パルムマネー」の機能も加えられています。
ちなみに、商店街の至ることころで目にするマスコットキャラクター、ビーバーの「パル」と「パム」は、商店街のマスコットキャラクターと思いきや、実はポイントカードのマスコットキャラクターなのだそうです。

最近力を入れている取り組みの一つが、商店街のオリジナル商品、パルムブランドの商品開発だそうです。「武蔵小山といったらこれ」といえる名物のようなものを商店街主導で作っていきたいという思いのもとに始まった取り組みです。しかし、独自で一から商品開発を行うのはとてもたいへんなこと。そこで、全国各地に存在する逸品、名品とコラボレーションする形を選んだそうです。
そのような経緯で生まれたパルムブランドの記念すべき第一弾商品はお酒。千葉九十九里純米生酒「舞桜」とのコラボレーションによるオリジナル日本酒「波留夢(ぱるむ)」です。まだ販売が始まったばかりですが、評判は上々。これからも地域のすばらしい商品をPRしながら、パルムブランドも育てていける、双方にメリットがあるコラボレーションで、地域や企業の垣根を超えた画期的な商品をリリースしていくそうです。

その他の新たな取り組みにも、ユニークなものがあります。それは「商店街カード」。つまり、今静かなブームとなっている、ダムカードやマンホールカードなどの商店街版です。いろいろな図柄を用意し、現在はイベント参加の景品などとして配布しています。今後、コレクターが増えて、ほかの商店街にも波及していけばおもしろいという考えで作っているそうです。
近年武蔵小山では、大規模な再開発が進められており、2021年の現在までに半分程度が済んだ状況にあります。新しくなっていく街と商店街のこれからについて、尾村事務長にお伺いしたところ「再開発に巻き込まれるのではなく、商店街として今までに積み重ねてきたよいものはそのまま引き継ぎ、一方で変えなくてはいけない部分は変え、商店街が街と一緒に進化していき、お客様により愛されるようになることが第一です」と語ってくださいました。確実に生まれ変わりつつある街の中で、人々からますます求められる商店街へ、武蔵小山商店街振興組合は今後も独創的な取り組みで挑戦を続けていきます。
