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TOKYOの商店街で開業したい人必見!
こんな商店街・あんな商店街の
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VOL.
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日本が高度経済成長期の只中にあった1968年に、東京都町田市の丘陵地に誕生した鶴川団地。この団地とともに本年まで、実に53年という歳月を歩んできた商店街が鶴川団地センター名店街です。2018年の5月には50周年を祝して記念のイベントも行われました。
八百屋や精肉店、酒屋、そして洋品店、寝具店、インテリア・リフォーム店など、全22店舗が連なり、暮らしに必要なものが一通りそろってしまう便利な商店街です。さらに、物を売るお店だけでなく、音楽教室、図書館、郵便局まであり、買い物以外の目的でも立ち寄る、地元の人たちの交流の場として機能しています。
今回お話をお伺いしたのは、この商店街が産声をあげた53年前から「インテリア・リフォーム丸石」を営業されている、まさに鶴川団地センター名店街とともに生きてきたといえる富岡秀行さんです。
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お客様をお出迎えするにぎやかなデザインのゲート。商店街は、小田急小田原線鶴川駅からバスに乗れば9分程度ですが、徒歩でも約22分で到着します。
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初めて訪れた人にもわかりやすい、商店街全体のMAPが設置されています。いろいろなお店がそろっていることが一目瞭然です。
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興味深いお話をたくさん聞かせてくださった富岡さん。かつては商店街の会長を務め、現在は町田市商店会連合会副会長として活躍されている方です。
鶴川団地の中央、数々の商店に取り囲まれるように広がっているのは「太陽の広場」。ここは最初からイベントなどで活用することを想定して設計されたそうです。現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となっているイベントが多いのですが、以前は節分祭、近隣の街のチームも参加する鶴川エイサーよさこい祭、鶴川3団地・商店街合同の夏まつりなど、1年を通してさまざまなイベントを開催。地元の人を中心にたくさんの人が集まり、たいへんな盛り上がりを見せていたそうです。
また、「太陽の広場」には遊具も設置され、親が買い物をしたり、郵便局で用事を済ませたりしている間などに、子どもたちの遊び場となっています。周囲には商店があり、さらに商店街の出資で防犯カメラも設置されているので、親も安心できるのです。

鶴川団地センター名店会では、昨今の人口減少や少子高齢化などを背景に増えている、買い物が困難なお年寄りなど、いわゆる「買物弱者」への対策にいち早く取り組んでいます。団地の住民向けに、電動カートによる家から商店街までの個別送迎を実施。自治会や社会福祉法人、高齢者支援センターなどとともに立ち上げた「鶴川団地地域支え合い連絡会」のネットワークを活用して、利用の受付や運行の管理などを協力しながら行っています。
買い物が困難な人たちに向けて商品をデリバリーするサービスは一般的ですが、「商品を自分で見て、買いたい」という潜在的ニーズに応えたいという気持ちがあったといいます。また、自らの力で買い物をすることで体のリハビリにもなり、お店でコミュニケーションの機会ができることで心の健康も保てます。これは商店街だからこそ可能なことで、今後もこのような商店街ならではの長所を活かした施策に力を入れていきたいと考えているそうです。

鶴川団地センター名店会は、地球環境問題への取り組みにも積極的です。商店街でお買い物をするとポイントがたまるスタンプカードがありますが、これももともとはエコロジーの視点から始まったものでした。以前のポイントは、ごみの分別・リサイクルのために設置されたエコステーションで、缶とペットボトルを機械に入れると自動的に発行されていました。それが機械の老朽化などの事情で、スタンプカードに移行したのだそうです。
現在も継続している取り組みとしては、自治会と一体となって行っている「もったいない団地」の活動があります。これは、町田市の協力を得て導入した生ごみ処理機による生ごみの再資源化、そしてペットボトルや缶、発泡トレイ、紙パックなどの分別によって、「ごみは作らない、燃やさない、埋め立てない」の実現を目指すものです。
さまざまな方面でエネルギッシュな取り組みを進める鶴川団地センター名店会。長い歴史を誇る一方で、老朽化や耐震性への不安から建て替えの問題にも直面していますが、「地域を盛り上げるためにいろいろなことをやっていきたい」と富岡さんはどこまでも意欲的です。商店街を支える人にこのような前向きな姿勢がある限り、鶴川団地センター名店街は今後もさまざまな障害を乗り越え、地元の人たちに愛される商店街であり続けるでしょう。
