商店街紹介 江東区 深川資料館通り商店街協同組合

下町風情とともに、歴史の香りがあふれる商店街

江東区 深川資料館通り商店街協同組合

東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄大江戸線「清澄白河」駅から徒歩2分ほどと利便性が高く、周辺には清澄庭園や東京都現代美術館と、観光資源も充実している深川資料館通り商店街。1961年に商店街組織を法人化した当時は「江東区役所通り商店街」という名称でしたが、その後は区役所の移転に伴い改称。1987年には、江東区役所跡地に深川江戸資料館が開館したのにならい、現在の「深川資料館通り商店街」という名称に変わりました。
歴史ある寺社仏閣や史跡に囲まれた寺町ですが、江戸時代から大規模な木場が形成されていたという側面もあります。新木場の編入により多くの木材店が移転したものの、現在も呉服屋さんや豆腐屋さんといった昔ながらのお店が軒を連ねています。もっとも古いところでは、明治29年創業のお店もあるそうです。近年は、材木置場だったところにマンションが建つなどし、若い世帯の住民も増えています。
今回は「かかしコンクール」をはじめ、話題を呼んだ数々のユニークなイベントについてお話を伺いました。

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1922年(大正11年)に創業したころは縫製店だったという『あづま屋文具店』は、もうすぐ100年目の老舗。取材させていただいた分部さんで2代目とのこと(上)。
30数件ものお寺があるという深川資料館通り商店街。この霊巖寺は、江戸時代に創建された由緒あるお寺です(下)。

軽妙な語り口でお話ししてくださった分部登志弘理事長。現代美術がお好きということで、理事長が仕掛けた数々のイベントはアートの香りが漂っています。

ほかの地域との親交を深めた「かかしコンクール」

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「1998年に始まった『かかしコンクール』は、広く募集した手作りのかかしを商店街路上に展示するというどなたでも参加できるイベントで、毎年9月に開催しています。この地域だけでなく、他県でもかかしに関するワークショップを開いています。
"田んぼも畑もない寺町なのに、どうしてかかしコンクールをやっているの?"とよく聞かれるんですよ。
はじめは、私が知り合いからもらった稲穂と一緒に手作りのかかしをお店の前に立てていたら、子どもや親御さんから人気が出まして。そのころ、江東区からイベント開催の打診を受けていたので、思い切って『かかしコンクール』の開催を決めたんです。かかしの骨組みは私が作って、それを各店舗に渡します。あとは、古着でも何でもいいから着せてあげて、お店の前に飾るだけ。はじめは86体作りましたが、それだけでは少ないので今は200体くらい作っています」と、かかしコンクールが始まった経緯についてお話ししてくださいました。
さらに、かかしやかかしコンクールによってほかの地域と交流が生まれたと言います。「このコンクールでほかの地域とつながったきっかけは、『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006』です。城山の棚田に95体のかかしを並べて、車で通った人が見えるように飾りました。これが"癒しの展示"と評判を呼び、芸術祭には商店街として3度参加させていただいています。また、埼玉県比企郡吉見町とも定期的に交流しています。吉見町の子ども達と一緒に作ったかかしを都内に運んできて『かかしコンクール』で飾り、その次には10月の『よしみコスモスまつり』で展示しているんですよ」と語ってくださいました。今では、商店街の名物イベントとしてすっかり定着しています。

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かかしコンクールで飾られていたかかし。深川江戸資料館の入り口前で見つけました。

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「第23回かかしコンクール」展示作品の一部。製作者がかかしといったらかかしなのだそう。
自由な発想で出展できるのがこのイベントの特徴です。

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「かかしコンクール」の開催を伝えるチラシ(第23回(左)・第22回(右))。希望者にはかかしの骨組みを無料で提供しています。

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コンクールを始めるにあたりかかしの着付けなどで協力してもらったという、大正13年創業の京呉服のお店「田巻屋」。

"おのくん"に一目惚れし、東京商店街グランプリで2度目の受賞

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「2006年、空き店舗対策事業として、コミュニティスペース『深川いっぷく』をオープンしました。もともと調剤薬局だったお店を使って、一服できる喫茶店を作ろうとしたのが始まりです。内装や薬を並べるガラス棚もそのまま。それが第3回『東京商店街グランプリ』活性化部門でグランプリを受賞したので驚きました」と語ってくださった分部理事長。
さらに、第12回東京商店街グランプリで優秀賞を受賞した、2016年の『花みずき街角誰でもアーティスト』(メインテーマ おのくんを探せ)についても振り返っていただきました。「"おのくん"は、宮城県東松島市小野町で、主婦などが一つひとつ手作りしているソックモンキー(靴下で作られた猿のぬいぐるみ)。被災した東松島の復興を願って生まれたキャラクターです。その存在を知ってからすぐに現地に飛んで行きました。コンセプトにも共感できましたし、とにかく可愛さに一目惚れしちゃったんですよ。おのくんを5~600体購入し、商店街の各店舗に無料で配ってショーウインドーなどに飾ってもらいました。そして、それぞれ柄や表情が異なるおのくんを探し出すというイベントを開催したんです」とのこと。イベントは大変な好評を博し、現在でもおのくんを飾っているお店が目立ちます。

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さまざまな靴下によって手作りされるので、同じ個体が2つとない"おのくん"たち。中央の2つはクリスマスバージョンだそうです。

来場者が"密にならない"特性を生かし、無事イベントを開催

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新型コロナウイルス感染症の影響が広がってからは、東京都の奨励金制度を活用したり、Go To 商店街の制度を利用したりしたとのこと。新しい情報には興味を持つようにして、テレビやラジオなどをチェックしているそうです。
コロナ禍においてイベント開催を断念した商店街が多い中、深川資料館通り商店街では、2020年に第23回かかしコンクールを無事に開催できました。「かかしを作るワークショップは開けませんでしたが、コンクールは開催できました。路上を広く使って展示しますし、お祭りにように人が一箇所に集中しませんから。ただ、展示された作品の数は82体と、前回から半減。例年の賑やかな表彰式は行わず、個別に賞状や商品をお渡ししました」とのこと。
また、新しいイベントのアイデアについてお伺いすると「『これはいける』と確信をもてるものがあればいいけれど、自分の体力も考えないとね」と、にこやかにお話しされました。歴史ある町並みにアートが溶け込む深川資料館通り商店街では、今後もユニークなイベントが生まれることでしょう。

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全長約900メートルにも及ぶという商店街の一本道。近くの通りのお店からも商店街に加盟したいと相談されることがあるそうです。「商店同士のつながりを求めていらっしゃるんだと思いますよ」と分部理事長。

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商店街イベント

かかしコンクール、花みずき 街角誰でもアーティストなど

入会メリット

イベントへの参加、ホームページへの掲載など

商店街情報

  • 商店街名深川資料館通り商店街協同組合
  • アクセス 東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄大江戸線「清澄白河」駅下車2分
  • 住所江東区三好3-8-5
  • TEL 03-3641-3452(あづま屋文具店)
  • FAX
  • URL https://fukagawakakasi.wixsite.com/fukagawa

※掲載の情報は2021年01月時点のものです。