商店街紹介 目黒区 都立大学商店街連合会

店主や理事長職の高齢化が進む各商店街。若手が中心になった『とりつじん実行委員会』の立ち上げで、世代交代を目指す

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都立大学商店街連合会は、東急東横線「都立大学」駅周辺にある6つの商店街(柿の木坂商和会・都立大学本通り親和会・八雲通り共栄会・富志美会・トリツフードセンター・平町商店街振興組合)で構成されている連合会です。駅の名称にもあるように、以前は東京都立大学があった街。現在その跡地にはめぐろ区民キャンパスが建ち、地域の中心的なスポットとして多くの人々に利用されています。
店主や理事長職の高齢化が進む各商店街。連合会で世代交代の話が持ちあがったのは2014年のこと。30~40代の店主が集められ、“若手が中心になって街の魅力が伝わるガイドブックや商店街マップを作ってみては?”と都立大学商店街連合会会長から提案があったのだそう。実行委員会を結成し何度も打ち合わせを重ねていく中で、メンバーの気持ちは「冊子を作ることがゴールではなく、地域の人に読んでもらえるようなものを作りたい」と一致。今回はそこから誕生した冊子『とりつじん』や『とりつじん・プロジェクト』についてお話をうかがいました。

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東京都立大学の跡地に建つ、めぐろ区民キャンパス内にある『めぐろパーシモンホール』(写真左上)。ホールの前に広がる芝生広場では、訪れた区民たちが思い思いに過ごしている姿が見られました。個店が多い八雲通り共栄会の様子。近隣は閑静な住宅街で落ち着いた雰囲気(写真左下)。

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南口に広がる『平町商店街』。飲食店、各種教室などさまざまな店舗が並んでいます。

似顔絵で魅力を発信する『とりつじん』。その発行秘話や込めた思い

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議論を続けた結果、個性的でこだわりの強い店主が多いことが、都立大学の魅力!ということが明確に

「ある日、各商店街から1~2名の若手が集められたんです。当時私たちの世代は商店街同士の交流はあまりなく、“初めまして”という状態でした」とおっしゃるのはとりつじん実行委員 広報担当の三室さん。そこで、連合会会長から若手が力を合わせて各商店街の活性化に寄与して欲しいと告げられたのだそうです。「各店を紹介するようなガイドブックを作るというような話がありましたが、約300店を取材して内容をチェックしてというのは気の遠くなるような作業。ミスや漏れのないようにというのはもちろん、その数の多さから完成はいつになるんだというのも懸念点でした。お店紹介のガイドブックはほかでも見ることがある上に、作っておしまいになってしまう気もしていました」とスタート時の思いを語ってくださいました。
何となく作るのではなく、目的を明確にさせるために、まずは“都立大学の特徴って何?”というところから議論をスタートさせたとのこと。「当初は慣れていなくて、日が変わっても話し合いが終わらないこともありました。でも会を重ねていくうちに意見が活発にでてくるようになったんです」と三室さん。さまざまな意見が出る中、“個人商店が多く、個性的でこだわりの強い店主が多い。そこで働く人こそ都立大学の魅力”とまとまり、その人となりを冊子にまとめることになりました。

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アートディレクター増沢 隆樹さん(左)と『とりつじん・プロジェクト』実行委員 広報担当の三室 茂さん(右)。

“作り手のエゴで終わらせたくない、読み手にも楽しんでもらいたい”という思いをカタチに

独創的な発想も目を引くポイントです。写真ではなく、似顔絵で店主やスタッフなど紹介。すべて違うイラストレーターが描くという、各ページそのものが個性的なつくりとなっています。また、“〇〇屋の〇〇ちゃん”など、普段呼ばれている愛称が記載されているのも親しみやすさにつながっています。取材は実行委員自ら行い、自分たちで作り上げるということを大切にしているのだそう。紹介文は、店主の個人的なエピソード中心にし、単なるお店紹介にとどまっていません。
こういった発想には、地元の外部アドバイザーであるアートディレクター増沢さんの存在も大きな力となっています。「都立大学は幼少期から馴染みのある街。深い思い入れがあって、街中でイベントをして、街の活性化には尽力してきました。今回のプロジェクトは、この街が大好きな人たちが集まって、とことん話し合ったことで目的が明確になったのだと思います。とにかく“作り手のエゴで終わらせたくない、読み手にも楽しんでもらいたい”という気持ちが強かったですね。継続も視野に入れていて、実行委員の負担にならないように発行は年1回、紹介するのは1冊20人程度としたのもそのため。写真ではなくイラストにしたのは、見る人によって印象が変わるという個性の広がりを出したかったからです。 取材にはイラストレーターを同行させ、直接会ったからこそ感じられることをしっかり表現してもらえるようにしています」と、このプロジェクトへの思いなどについて語ってくださいました。

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靴屋のひでちゃんは、19歳で茨城から上京。商店街で仕事をする現役最年長の店主。

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お肉屋の若旦那は、昭和10年に創業したお店の3代目。ハンチング帽がトレードマーク。

『とりつじん』の発行は、連合会の活性化や会員の意識改革にも

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創刊号は2014年暮れに発行。以降、毎年1冊出し続け93人のとりつじんを紹介してきました。お客さんの反応もよく、冊子を持って来店される方もいらっしゃるとか。“一番好きな絵本はとりつじん”というお子さんの声もあったのだそうです。
そして、2018年にはこの取り組みが認められ『第14回東京商店街グランプリ』を受賞。地域にも名前が浸透し、各種マスコミから取材を受けるなど大きく注目を浴びるプロジェクトとなりました。
現在は『冊子とりつじん』(告知)・『とりつ大学』(PR)・『とりつイベント』(集客)を『とりつじん・プロジェクト』とし、当初の目的であった継続的な運営を実現しています。軌道に乗った今でも月2回ほど定例会を実施し、ブラッシュアップは忘れないということです。
三室さんに今後の抱負についてお聞きすると、「『とりつじん』の発行は、連合会の活性化や会員の意識改革にもつながったと思います。私自身も目の前のことをこなすだけでなく、30年・40年と商売や商店街を継続させるためには何をすべきかを考えるようになりました。本プロジェクトは2020年の4月で7年目を迎えます。これからも仲間と力を合わせて強固な柱を築き、継続していきたいです」と力強く語ってくださいました。

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『とりつ大学』(PR)の告知ポスター。店主が先生となり、長年培った技やコツを教える取り組みで、毎回好評を博しています。

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実行委員 広報担当の三室さんが経営されている『茶舗大坂や』。最近は、地球温暖化のせいか新茶の収穫時期が早まっているのだとか。「こういったことを身近に感じ、最近は“ビニール袋は使いますか?”などの声がけもしています」とのこと。

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連合会情報

  • 連合会名 都立大学商店街連合会
  • アクセス 東急東横線「都立大学」駅
  • 住所 目黒区柿の木坂・八雲・平町・中根など
  • TEL 0120-371-891(そば処 大菊総本店)
  • FAX
  • URL http://www.toritsuzine.tokyo/

※掲載の情報は2020年1月時点のものです。