商店街紹介 新宿区 新大久保商店街振興組合

平日・休日とも多くの人でにぎわう商店街

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現在の振興組合の前身となる『商友会』が誕生したのは大正時代末期のこと。その後『大盛会』と名を変えたのち、東京大空襲によって一面焼け野原となってしまいますが、店主たちの努力もあって1947年に『商光会』として復活。1988年には『新大久保商店街振興組合』が設立し、現在にいたります。
近年は、平日・休日問わず多くの人でにぎわう新大久保商店街。JR山手線から明治通りまでの約600m、大久保通り沿いには日本・韓国・ペルー・ネパールなどアジアを中心とした多国籍の店舗が軒を連ねています。このように、新大久保といえば多国籍というイメージが強いかもしれませんが、2000年ごろの第一次韓流ブーム以前は日本のお店が中心の商店街だったのだそうです。ただ、古くから留学生の宿泊施設があったことで、外国人を受け入れる意識がある地域でもありました。
2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピックにわく日本ですが、今回はそれに先駆けてインバウンド対応を進められている商店街の取り組みなどについてお話をうかがいました。

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伊藤理事長が経営されている『島村印店』では、外国人向けの印鑑も作成・販売している。実印の場合は在留カード通りとなるが、お土産用の場合は当て字で作成してもらえるそう。

「土日は入場制限がかかるくらい駅が混雑しています。2020年春ごろから西側の区道へ抜けられる出口専用改札口が利用できるようになるので緩和される予定です。言葉の違いで心配なのは有事の時。今後は新宿区にも協力してもらいながら防災訓練などにも力を入れていきたいですね」と今回お話をうかがった伊藤節子理事長。

商店街に大きな変化をもたらした、第一次~第三次の韓流ブーム

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「バブル崩壊や店主の高齢化が進んだことなどが原因で、1990年代に入るとここで商売をやっていた人たちが店を閉めたり、他へ移転していったりしました。その後、2002年の日韓ワールドカップで国境を越えた街頭応援が『日韓友好の象徴』としてマスコミから取り上げられるようになったことが新大久保に注目が集まったきっかけになったように思います。2004年のヨン様ブームが第一次韓流ブームとして定着し、韓国の飲食店が増えていきました。そして、K-POPの流行とともに2010年ごろから第二次韓流ブームに突入します。このころになると、飲食店だけでなく、コスメやグッズなどの物販店も増えていきましたね」と伊藤理事長。そのような中、2011年の東日本大震災で街が大きく変わることになります。「原発事故が原因で、多くの韓国人が国に帰ってしまったんです。働き手がいなく閉店する店舗が増え、100店ぐらい減ってしまったのではないでしょうか。その空き店舗には、ベトナムやネパールのお店が入店するようになりました。多国籍化が進んだのもこのころですね。2年ぐらい前からは、チーズダッカルビ・チーズホットドッグ・タピオカドリンクなどがブームになっただけでなく、『インスタ映え』が若者の間で流行しはじめたこともあって、多くの中・高生が訪れる商店街となりました」とこれまでの経緯を教えてくださいました。

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JR山手線「新大久保」駅構内や商店街のお店で手に入る『新大久保にぎわいMAP』。商店街マップのほか、振興組合の加盟店情報、トイレ情報などが掲載されている。ホームページでも閲覧可。

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多くの若者でにぎわうチーズホットドッグ店は、平日の雨天にも関わらずこの盛況ぶり。毎日多くの買い物客が訪れるため、空き店舗が出てもすぐに決まってしまう状況。

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街路灯はLED化済み。「歩道の狭さが気になっています。遊びにいらした方や近所の方が安全に通行できるよう、新宿区と話し合いを始めることになりました」と伊藤理事長。

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整備が進む、JR新大久保駅前の72号線(写真右奥)。72号線はJR山手線に平行して通る道路で、新宿駅東口から新目白通りまでをつないでいる。

いろいろな国の人を受け入れ、仲良くするために。商店街の愛称は『天使のすむまち』と決定

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古くから外国人留学生がいる風景が当たり前というエリアではあったものの、商店街に外国人の方々のお店が目立つようになる、近隣の小学校に外国籍の生徒が入学してくる・・・と自分たちの日常に密接になってくるということに対しては、文化や言葉の違いから抵抗がある店主も少なくなかったようです。「抵抗があるとばかりは言っていられず、現実的に考えて共存していかなかくてはなりません。そこで1998年、『みんなが天使のように優しい気持ちを忘れずに人と人として接していこう。だれの心にも住んでいる天使を一人ひとりが大事にし、いろいろな国の人たちと仲良くしよう』という考えのもと、新大久保商店街振興組合の愛称を『天使のすむまち』と呼ぶことにしました。
JR山手線「新大久保」駅のガード下に天使の絵が描かれていますが、これはイラストレーターの高岡洋介・横島基尚両氏、店主、地域の子どもたちなどが思いを込めて完成させたものです。
観光目当ての外国人もたくさん遊びに来てくれています。こうした現状をふまえて、最寄り駅である新大久保駅では24カ国語で構内アナウンスを流したり、商店街では『ようこそ新大久保商店街へ』という歓迎の意を表した51カ国語をフラッグに印刷して掲出したりするなど街をあげて対応しています。異国にきたとき、ふと母国語を見聞きすると安心すると思うんですよね。それから言葉が通じることでストレスも減ると思うので、最近は翻訳機の導入なども各店に働きかけるようにしています」と語ってくださいました。

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キャラクターの天使とさまざまな国の人たちが笑顔で交流しているデザインがかわいらしい、高架下の壁画。

店主同士のコミュニケーションを深めるために『インターナショナル事業者交流会』を実施

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「店主同士のコミュニケーションも大切です。そこで2017年9月から2カ月に1回の頻度で『インターナショナル事業者交流会』という会合を実施しているんです」と伊藤理事長。これは、日本人・韓国人・ベトナム人・ネパール人の店主が集まって横のつながりを構築していこうというもの。お互いの要望や意見などを自由に交換していく中で、イベントなどの開催や各国のお店の利用などにもつながったのだそうです。「以前ゆかたまつりを開催したんですが、それなら4カ国の民族衣装で出迎えるおまつりもやりたいという意見が出ました。今年の8月に実施することになって、衣装だけでなく各国の歌・踊りを披露したり、食べ物・ビールなどを振る舞ったりするんですよ。いろいろな国の文化を知ってもらえたらいいと思います」とのこと。会合後の懇親会では各国の店を利用し、店主自らさまざまな文化に触れて、異国の文化への理解を深めているのだそうです。

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さまざまな言語の看板が並んでいる商店街の風景。最近はタイやベトナム料理の店もでき、ますますにぎやかになりそうとのこと。

商店街イベント

中元・歳末売り出し、大久保まつり、年末イルミネーション、新大久保映画祭など

入会メリット

各種イベントへの参加、ホームページへの掲載など

商店街情報

  • 商店街名 新大久保商店街振興組合
  • アクセス JR山手線「新大久保」駅すぐ
  • 住所 新宿区大久保2-18-7
  • TEL 03-3209-0400 (島村印店)
  • FAX 03-3207-5202(島村印店)
  • URL http://www.shin-ookubo.or.jp/

※掲載の情報は2019年7月時点のものです。