商店街紹介 大田区 大森柳本通り商店街振興組合

終戦後の露店が起源。約40店が軒を連ねる商店街

大田区 大森柳本通り商店街振興組合

JR京浜東北線「大森」駅西口(山王口)から徒歩5分のところにある大森柳本通り商店街。JR線の線路と池上通りの間に立地しており、アクセスのしやすさが特徴です。また、アーケードが備わっているので雨天時でもゆっくり買い物ができるというのもポイント。「ウィロード山王」という愛称は公募したもので、地域住民から長く愛されている商店街です。
大森柳本通り商店街の歴史は第二次世界大戦の終戦時までさかのぼります。都から払い下げを受けた土地に露店が並び、それが大森柳本通り商店街の始まりとなりました。高級住宅街である大田区山王の住民が利用する商店街ということもあって、当時は寿司屋、呉服店、貴金属店などが多かったのだそうです。
以降時代の変化に合わせて工夫をこらしながら、2009年6月1日に法人格を持った振興組合を設立。現在は、和菓子店、布団店、ボタン専門店などの老舗のほか、新規で参入したマッサージ店や飲食店、クリーニング店など約40店舗が元気に営業しています。

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電子化されている各店の看板。イベントの告知なども一斉に行えるため、掲示板よりも効果的なのだとか。(上)。
真っすぐ伸びる商店街の通り。(下)。

お話をうかがった、髙野雄二理事(左)、佐藤一男理事長(中)、ウルサイ株式会社の町田佳路代表取締役(右)。「山王エリアは、1923年の関東大震災で被災した名士たちが、安全で利便性の高い場所を求めて移り住んだ地としても有名です」と佐藤理事長。

2011年の東日本大震災を受けて、石巻復興プロジェクトが発足。拠点は長期間営業していなかった履物店

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「大田区の中ではかなり早い時期からアーケードを設置した商店街でした。いよいよ老朽化が目立つようになり、国・都・区から補助金をもらってかけ直すことにしたんです。竣工は2011年3月末を予定していまして、お披露目会なども企画していたところ3月11日に東日本大震災が発生しました。もちろん、お披露目会は中止にしました」と佐藤理事長。日々テレビのニュースや新聞で震災の被害を目の当たりにし“私たちにできることはないか”と考えていたところ、石巻で被災した鮮魚店店主の津田さんと出会い、石巻復興プロジェクトを立ち上げることになったのだそうです。
「復興支援を一過性のものでなく継続させたいという思いがあり、拠点を探していました。そのような中、商店街の中央にある長期間営業していない履物店に目を付けたんです。オーナーのご子息は継ぐ予定はないとのことで、私のほうで在庫となっていた履物をタダで引き取らせていただきました。それらを履物店の店舗で1足500円でセール販売し、復興支援の資金を得ました。これが縁で、履物店は復興支援や地域住民の交流の場である『アキナイ山王亭』として生まれ変わることになりました。ここで毎週土曜日に石巻復興支援プロジェクト『石巻マルシェ』を開催し、ご当地商品を販売しています」と、髙野理事が『アキナイ山王亭』の誕生秘話などを語ってくださいました。

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『アキナイ山王亭』の外観。開放的で通りから中の様子が確認できる。取材当日は高齢者向けのパソコン教室が開講されていたが、すぐに定員に達してしまうほと大人気の講座だとのこと。

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収納は荷物を載せるためのパレットを活用したもの。ワークショップを開催し、地域住民でカラフルなデザインに仕上げた。

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履物店時代の外観写真やそろばん、販売されていた履物が飾られている。

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段ボールでできた机は、強化ダンボールを取り扱う『今野梱包株式会社』(石巻市)から提供してもらったもの。

商店街の組合員以外のアイデアも柔軟に取り入れ、さまざまなことに挑戦

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「高齢者の見守り、子育て支援など、この地域はさまざまな問題を抱えています。でも、これらに対して商店街で支援できることは特に浮かばなかったんです。そのうち、復興支援イベントに興味をもった人たちが集まってくるようになって、私たちが思いつかなかったようなアイデアを提供してくれるようになりました」と教えてくださった佐藤理事長。現在アキナイ山王亭の管理を担っているウルサイ株式会社の代表取締役である町田さんもその中の一人。「結婚を機に大森に越してきました。活動場所を探している中で商店街に出会い、何度か足を運ぶようになったところで、アキナイ山王亭の2階に事務所を構えてみないかと打診されました。2013年3月からここを拠点に活動しています。以来、子ども向けの企画や期間限定バー、地域の公園で結婚式をするなど、地域に密着したイベントを企画・運営してきました。今は、“ナオミ”と“ジョージ”という大森・山王発のクラフトビールを開発して、毎週水・木の18時~22時まで『たいようの醸造場』として振る舞っています。私は外から大森にやってきたので、街について知らないことも多いですが、より地域に根ざした活動をするためにも、いろいろな人に出会い、学んでいくことが大事なのではと考えています」と語ってくださいました。

※“ナオミ”と“ジョージ”は谷崎潤一郎著の『痴人の愛』に由来。主人公の譲治は浅草のカフェーでナオミという美少女に出会い、大森の洋館を借りて同居するようになる・・・『痴人の愛』の舞台が大森ということから、この名前をつけたとのこと。

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商店街の裏手にある結婚式を行った公園。地域住民憩いの場だけでなく、鉄道ファンにとってもベストな撮影スポット。

継続をモットーに、今後も取り組んでいきたいです

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「石巻復興支援プロジェクト『石巻マルシェ』は、おかげ様で10周年をむかえました」と髙野理事。「『アキナイ山王亭』は復興支援がきっかけでしたが、空き店舗活用としても成功した事例になるんじゃないかなと思います。例えば『おおた高齢者見守りネットワーク(みま~も)』などにもご協力をいただきながら、高齢者が外出したり学べたりできる機会を積極的に創出するようにしているんです。お休み処としての役割もあるので、地域の方々には自由にご利用していただきたいと思います。
“賑やかなところには人がくる。それを継続させるのが私たちの役目”と強く思っています。これからも、有意義で楽しいことを時代の変化やニーズを加味しながら発信していきたいです」と今後の抱負を教えてくださいました。

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『アキナイ山王亭』は時間貸しを行っており、1階にはキッチンがあるのも特徴。空き状況や利用料金の詳細はホームページでチェックを。

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商店街イベント

リトルアキナイ(地域の子どもたちが協力店で売り子をするイベント)、ハロウィン、夏まつり、など

入会メリット

各種イベントへの参加など

商店街情報

  • 商店街名 大森柳本通り商店街振興組合
  • アクセス JR京浜東北線「大森」駅西口(山王口)徒歩5分
  • 住所 大田区山王3-1-3
  • TEL 03-3775-0373 (金海堂製菓)
  • FAX
  • URL http://ast.mobilexschool.com/about/
    ※アキナイ山王亭のURL

※掲載の情報は2019年6月時点のものです。