「会長になったタイミングで、高架下ができたんです。市からここを活用して何かやってくれないか・・・ということを打診されまして、夏に商店街の通りで10年来やっていたビアガーデンのイベントを「ビアテラス」として行うことにしました。前任者から正式に引継ぎをしていなかったので、形式にとらわれず基本的には自分のアイデアを取り込みながら企画を進めていきましたね」と田中会長。
集客は主に商店街のFacebookを利用し、2年目には約1,200人/日の来場があったそうです。「2年目のときは、クラフトビールに興味がある人に焦点をあてて集客しました。個人的に親交のある多摩地域のクラフトビールや稲城市の飲食店によるフードなどの提供だけでなく、稲城市と友好都市協定を締結している長野県下高井郡野沢温泉村の物産展も開催したんです。3年目となった昨年は西日本の豪雨災害を受け、急遽「豪雨災害復興応援ブース」として、広島県と岡山県の物産を販売したり募金箱を設置したりしました。そこで得た収益と募金は被災地域に送って、復興支援に充ててもらいました。どんなイベントを行うときにも念頭にあるのは、困っている人を助けたい・子どもたちや参加者の笑顔が見たい・主催側の自分たちも楽しみたいということです。そこは絶対にぶれることはないですね」と語ってくださいました。

ビアガーデンが開催された、JR南武線の高架下。雨天でもイベントが中止にならない点がメリット。

Facebookにアップしたビアガーデン(ビアテラス)の告知。

来場客で賑わう、ビアガーデン(ビアテラス)の様子。2018年は約2,200人が訪れたとのこと。

生ビールや多摩地域のクラフトビールなどさまざまなビールが楽しめる。

商店街では「いな恋」という婚活イベントを過去3回主催しています。「毎回コンテンツを決めていて、2018年3月に開催した「いな恋大人の婚活パーティー」のコンテンツは肉。鶏の丸焼き、骨付きの豚の生ハム、ローストビーフと塊で出して、インパクトも重視しましたね。もちろん婚活イベントではあるんですが、ただ男女が集まればいいのではなくて、食事や雰囲気も楽しんでもらいたいと思います。参加してまた来たいと感じてもらえれば、口コミで広がることも期待できます。
過去3回のイベントの集客はFacebookを使いました。何が最適なのかはやってみないと分かりませんので、発信先の商圏をそれぞれ変えて、反響の違いを検証してみました」と教えてくださいました。

今後についてお聞きすると「女性が会長をやったり大学生がイベントを企画したりするなど、違ったアイデアが生まれるような体制を作るというのもいいと思います。買い物をするだけでなく、若手のクリエイターが集まるようなコワーキングスペースなどをオープンさせて、商店街に若い人が集まるようになるといいですね」と田中会長。本腰を入れた始動は駅前の土地区画整理が終わってからかな・・・ということでしたが、一緒に楽しんでくれるような市の職員、20代・30代を巻き込んでイノベーションを起こしたい！と強い想いをお持ちでした。

―高架下に誕生！いなぎ発信基地　ペアテラス―高架下に誕生！いなぎ発信基地
ペアテラス

稲城市のイベントや観光情報などを発信するために、2016年４月23日にオープン。特産品の販売スペースや地元の食材を利用した軽食がとれるスペースがあります。「稲城市は、都心のすぐそばにあるローカルというと伝わりやすいでしょうか。新宿から電車で30分ほどで、多摩川・果樹園・山・緑などの自然が満喫できます。「稲城」「新高」「あきづき」などの梨が特産品で、サイズは大きめ。スイカを思わせるほどの多汁な品種が多くなっています。それから、メカニックデザイナーの大河原邦男氏の地元としても有名です。稲城市のイメージキャラクター「稲城なしのすけ」は大河原邦男氏とマルチクリエイターの井上ジェット氏によって誕生しました。ペアテラスでは高さ3.6mのガンダムとシャアザクがお出迎えしていますので、ぜひ足を運んでみてください」と室井所長。