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VOL. 44

商店街リノベーション支援事業編 第2回多摩諏訪名店会

東京都では、集客力が低下している商店街に対し、専門家の派遣によって活性化を促す「商店街リノベーション支援事業」を実施しています。

前回から3回に渡り「商店街リノベーション支援事業」編として、令和元年度から3年間支援対象商店街となった、多摩市の多摩ニュータウン※内にある永山団地名店会、多摩諏訪名店会、豊ヶ丘・貝取商店会をピックアップ。各商店街の概要や事業内容についてお伝えしています。

※ 多摩ニュータウン:多摩市、八王子市、町田市、稲城市にまたがっている。1965年に都市計画が決定し、2006年まで約40年開発が続けられた。近隣住区論(クラレンス・A.ペリーが提唱した、小学校を中心とした徒歩圏内に住居や生活必需施設を配置するという考え)を基本理念とし、安全性と商業地や公園・緑がセットになった街並みが特徴。駅やそれぞれの団地へ歩行者や自転車が通行可能なペデストリアンデッキで行き来できる。自動車とすれ違うことはない。

この3商店会は、連名で本事業に申請。それぞれ団地の入居開始時期と同じタイミングとなる約40~50年前に結成されており、空き店舗や店舗の事務所化、作業場化による賑わいの減衰が長年の問題点となっていました。

第2回目では、「多摩諏訪名店会」をご紹介。2021年4月に出店された合同会社ライフイズ代表社員の影近卓大さん、専門家として採択された建築家の横溝惇さんに思いなどを語っていただきました。

分譲店舗と賃貸店舗が混雑する商店街

17店舗が分譲店舗、12店舗が公団賃貸店舗と計29店舗で構成されている多摩諏訪商店街。第1回でご紹介した永山商店街とは、ペデストリアンデッキでつながった場所に立地しています。1971年のオープン当初は、青果、精肉、鮮魚、米店、飲食店などが1業者1店舗の原則をもとに出店。現在は、生活最寄品店というよりは、サービスを提供するお店やコミュニティカフェ、自然食品店などの個性的な店舗が入居しています。また分譲店舗では、倉庫や作業場としての利用も見られます。

美容室などが入居する分譲店舗側の商店街の一部。当初は1階が店舗・2階が住居というコンセプトだったそうですが、現状はさまざまな使われ方となっています。
商店街の可能性を感じ、出店を決意しました

「横溝さんとは交流会で知り合い、SNSでつながっていました。横溝さんが企画したイベントに参加したところ、地域の魅力を発信するという活動内容に興味を持って、私も商店街に店舗を構えられたらいいなと考えていたんです。商店街のノスタルジックな雰囲気も気に入っていました」と影近さん。
「事業として、重症児者デイサービスや訪問看護リハビリテーションを提供しています。重症児者デイサービスの新たな拠点を探していたところ、諏訪商店街に空き店舗が出たので借りることにしました。障害者施設は、どうしても閉鎖的になりがちです。でも、誰もが社会の一員。自然と緩やかに地域とつながるためには人が行き来する商店街は理想的でした。ただ、活動する場だけではつながるのは難しいかもしれない…そう考えた時に頭に浮かんだのが、どんな世代も抵抗なく利用できる駄菓子屋さんを併設するということでした。駄菓子屋さんができたんだと寄っていただいたときに、あれ、何やってるのかな?とデイサービスを覗いていただければいいなと思っています。そして、障害者は特別な人ではなく、当たり前にいる人になる地域社会を目指しています」と語ってくださいました。

合同会社ライフイズ代表社員の影近卓大さん。駄菓子屋は、初めてのお使いの場になったり、高齢者が昔を懐かしむ場となったりしているとのこと。接客時は、駄菓子を通して自然と会話が生まれているようです。
多摩ニュータウンにある他の商店街ともつながっていきたいです

デザインにもこだわりがあるという影近さん。ユニフォームやロゴも、地域の方が働きたい!と興味を持ってもらえるようなデザインにしたほか、店舗設計は横溝さんに依頼して、木のぬくもりがある開放的なものに仕上げてもらったそうです。
「入居して数カ月ですが、店舗として認知してもらうだけでなく、商店会や住民の皆さんと協力しながらイベントなどにも参画していきたいです。10月には横溝さんたちと協力しながら、ハロウィンイベントをやりたいなと思っています。また、多摩ニュータウン内にある商店街では個々にいろいろとイベントをやっているようですが、合同で開催して、商店街の垣根を超えたつながりを創出したいという思いがあります。まずは多摩市内にある8つの商店街と一緒にできたらいいですね。歩いて巡るのも楽しいので、商店街のマップを作ってお店のストーリーや店主の横顔なども一緒に紹介できたら、より魅力が伝わりやすいのではないかなと考えています」とのこと。
影近さんの目指すところは、いろいろな面でハードルを低くして、入口を増やすことだそうです。「残念ながら世間から切り分けられてしまっている人がいますが、そういった方々が楽しいと私も楽しい。みんなが楽しい、全ての人にとっての居場所が商店街になればいいです」と笑顔で話してくださいました。

長く商売をしている店主と新しく出店した店主との関係性も良好とのこと。これからの変貌が楽しみな商店街です。