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VOL. 73

下北沢商店連合会編
下北沢商店連合会
駅周辺の6つの商店街で構成される連合会

小田急小田原線、京王井の頭線が通る「下北沢」駅。若者に圧倒的な人気を誇る通称「シモキタ」の駅周辺には、「下北沢一番街商店街振興組合」、「下北沢南口商店街振興組合」、「しもきた商店街振興組合」、「下北沢東会」、「代沢通り共栄会」、「下北沢南口ピュアロード新栄商店会」といった6つの商店街があり、下北沢商店連合会を形成しています。その会員数は約760店舗にのぼり、飲食店、古着屋、雑貨店など個性的なお店が並んでいます。
今でこそ、カルチャーの発信地として名高い「シモキタ」ですが、最も古い下北沢一番街の通りには戦前から地域住民が利用する商店街として、生鮮三品を扱うお店などが並んでいたとのこと。戦後、新宿や渋谷に比べて家賃が安いこの地に沿線の大学へ通う大学生たちがたくさん住むようになり、自然と若者文化が生まれ、その発信地として知名度が上がっていったそうです。
下北沢商店連合会では、イベントを行うなどして街を盛り上げてきましたが、回覧板などを利用した約760店への情報伝達方法に不都合が生じるようになっていました。今回は、2022年度(令和4年度)に「商店街デジタル化推進事業」を活用してデジタル化に取り組んだ背景、内容、効果などについて、下北沢商店連合会 大木弘人会長(下北沢一番街商店街振興組合 理事長)、下北沢商店連合会 大塚智弘事業部長(下北沢一番街商店街振興組合 副理事長)、スパイラル株式会社 西山友則まちおこしDXカンパニープレジデント(コーディネーター)にお話を伺いました。

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    今回お話を伺った、大塚事業部長(左)、大木会長(中央)、西山まちおこしDXカンパニープレジデント(右)。
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    2023年(令和5年)に第91回を迎えた「下北沢天狗まつり」。「下北沢商店連合会、世田谷区 、地元企業などが行っている伝統行事なんですよ」と大木会長。
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    100店舗以上が出店する「下北沢カレーフェスティバル」(写真は2022年のもの)。
デジタル化の必要性を感じました

「長い間、イベントの告知や参加店の募集などは、回覧板を使っていました。しかし、忙しくて次のお店に回すのを忘れてしまったり、途中で紛失してしまったり、最後まで情報が伝わらないことがあったんです」と回覧板の問題点を明かしてくださった大塚事業部長。さらに、コロナ禍によって、できるだけ人との接触を避けることが望ましいとされるようになり、対面で情報を伝達する回覧板の見直しが急務となりました。そのような中、「商店街デジタル化推進事業」が活用できることを知り、デジタル化へ踏み出したのだそうです。

下北沢商店連合会
多くの若者が行き交う、下北沢一番街商店街。
データベースを構築し、一斉メール送信で情報発信ができるように

「色々とアイデアはあるのですが、私はシステム開発に明るいわけではありません。そこで、今回の情報管理システムの構築をお願いしたのが、商店街の会員でもある「スパイラル株式会社 まちおこしDXカンパニー」の西山さんです。彼は、下北沢カレーフェスティバルの仕掛け人。当初は商店街とは別でこのイベントを開催していたのですが、『一緒にできるよね』となって、今ではさまざまな面で力になってくれています」と大塚事業部長。
情報管理システムでは、店名や住所、メールアドレス、所属する商店街、お店の種別などを各店舗から収集して、データベースを構築。メールを送信する際には、「下北沢一番街商店街振興組合の飲食店のみに発信」など、セグメントが可能となっています。また、情報の伝達漏れを防ぐために、メールを開いていないと、再通知がいく仕組みを取り入れました。メールはスマートフォンでも確認ができるため、手軽にチェックできるようになった点も好評とのことです。

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情報管理システムのデータベース画面。新規店舗の加盟時には、二次元コードを読み取り、項目に入力すれば登録が完了するそう。
紙媒体も併用しながら、導入率の向上を進めていきたいです

データベースとなる情報を収集し始めたのは、2022年(令和4年)の9月頃。2023年(令和5年)3月には実装したそうですが、中にはデジタル化に対応できない店舗もありました。「メールアドレスの取得からサポートして導入に至ったケースもありましたが、デジタルに不慣れなご年配の方がいらっしゃるのも事実です。もちろん全店で導入していただくのが目標ではありますが、一気に100%にする必要はないと思っています。紙媒体も併用している状況です」と現状を教えてくださったのは西山さん。今後もアイデアマンである大塚事業部長から寄せられる「こういうことはできるかな?」という意見を受け取りながら、より使い勝手のいいツールとして昇華させていきたいそうです。

下北沢商店連合会
6つの商店街の位置関係。店舗だけでなく、劇場などがあるのも「シモキタ」の特徴です。
今後は、マーケティングなどにも活用できたらと思っています

「この取り組みによって、迅速かつ効率的に情報伝達ができるようになりました。また、約760店舗のデータベースがあること、アンケートなどの情報収集ができることは、マーケティングでも活用できると思うんです。次のステップとして、データ販売などができたらいいなと考えています」と今後の抱負を語ってくださった大塚事業部長。安定した情報提供が商店街活動の参加につながり、「シモキタ」の活気や魅力がより一層増していくのではと感じました。

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