東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅前に位置する三軒茶屋銀座商店街振興組合。茶沢通り沿いに店舗が並び、元気に営業しています。世田谷区屈指の商業地でもあるため、空き店舗がでるとすぐに次が決まってしまう状況なのだそうです。
1972年に任意組合だった「三軒茶屋銀座会」から「三軒茶屋銀座商店街振興組合」へと法人化。会員数は約160店となっており、飲食店・衣料店などその店舗の種類はさまざま。商店街内にある屋根付きの「ふれあい広場」をメイン会場とし、頻繁にイベントが行われています。2015年には歩道のバリアフリー化工事を完了させるなど、だれもが来街しやすい商店街を目指し、さまざまな取り組みを実行しています。

「空き店舗はありませんが、老舗や物品販売店が少なくなっているのが現状です。店主の高齢化や売り上げの減少などが理由で店を閉め、そこにビルを建ててテナントとして貸し出すという方も増えています。住宅地として人気のあるエリアなので、新築マンションが次々建つなど街全体は活気に満ちているのですが、利用者の高齢化が進み若い層が買い物をしないという状況が課題となっています。商店街は物を売るだけではなく、地域とのふれあいや共存も大切です。そこで、商店街に足を運んでもらえるよう、日々考え行動に移しています」と恵川事務局長。
特筆すべきは、法人化したころから続いている茶沢通りが全面歩行者天国になるという取り組みです。担当となった個店が時間になると車止めを出し、歩行者が車の通行を気にせずに安心して買い物ができるように配慮しています。もともと車通りの多いエリアなので、その安全管理には注目が集まっており、他の商店街から問い合わせが寄せられるとのことです。「歩行者天国の時間帯には、“自転車からおりて押してください”“そろそろ歩行者天国終了の時間です”など放送で呼びかけています。見回りも行いますが、放送で全域に流すほうが効果的です」と教えてくださいました。

商店街と茶沢通り。歩行者天国時、茶沢通りは基本的に車両通行止めになりますが、緊急車両は通行可にするなど、有事への配慮がしっかりなされています。

歩行者天国や商店街に立地する「ふれあい広場」を活用し、さまざなイベントが実施されているのも大きな特徴です。「毎週のようにイベントを実施している月もあるんです。全国各地の物産展はすぐに商品が売り切れてしまうほどの盛況ぶり。8月に実施している“三茶ラテンフェスティバル”は2019年で35回目を迎えました。茶沢通りで行われるサンバパレードは、沿道が来場者でいっぱいになるほどの人気プログラム。毎年8万人以上の方に楽しんでいただいています。ふれあい広場では音楽やダンスなどの公演が行われているほか、飲食店なども多く出店しています。
イベントをよくやっている商店街というのが定着してきたようで、イベントが近づくと商店街のサイトへのアクセス数が一気にあがります。当日天気が悪いと“今日のイベントは中止ですか”など遠方にお住いの方から問い合わせが入ることも多いですね」と恵川事務局長。ほかにも、世田谷区や世田谷区内の商店街と一緒にイベントを開催し、常に活気のある商店街を持続していらっしゃいます。

サンバパレードのひとコマ。複数のサンバチームがラテンのリズムに合わせて、情熱的なダンスを繰り広げます。

安心・安全に暮らせる地域づくりに貢献するために、地域の方々ともさまざまな取り組みを行っているとのこと。2014年からは毎年5月に世田谷警察署・世田谷消防署・世田谷区の協力を得ながら“体験型防災フェア”を開催し、水消火器体験や子ども視点の防災講習会などを通して意識の向上をはかっています。
また年4回、商店街の個店、銀行の行員、東急線の駅員、地域の方々、近隣の大学生などが協力して実施する“クリーン大作戦”では街の美化に寄与。約20人から始まったそうですが、今では100人以上の参加者があるとのことです。参加賞が商店街で利用できるお買い物割引券というのも好評とのこと。「こういった取り組みを通して、それぞれが顔見知りになるというのも狙いです。顔を知っているというのは安心・安全の基盤。これからも、商店街が核となって地域のつながりを構築していきたいですね」と語ってくださいました。

イベントや取り組みはホームページだけでなく、チラシやポスターなどでも告知。世田谷区商店街連合会のキャラクター『が～やん』(左)と三軒茶屋銀座商店街振興組合のキャラクター『三茶わん』(右)。