街づくり企業紹介 青梅市 株式会社まちつくり青梅

店舗の撤退や少子高齢化などの影響で、中心地の空洞化が問題に。行政と民間が協同して活性化に取り組むことに

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1960~70年代にかけて、再開発が進んだJR青梅線「青梅」駅周辺。駅前に大型スーパーができたことで活気が増し、周辺の商店街も栄えていきました。しかし、全国的に問題となっている少子高齢化や人口減少などの影響もあってか大型スーパーが撤退。商店店主の高齢化も加わって商店街の空き店舗が目立つ状況となりましたが、しばらくの間はなんのテコ入れもされず時が過ぎていきました。
こうした中、青梅市は中心市街地の再生を目指し『青梅市中心市街地活性化基本計画』の策定を進めていくことを決定。青梅商工会議所は活性化に必要な取り組みを協議・実現するために『青梅市中心市街地活性化協議会』を設立しました。そして2015年『株式会社まちつくり青梅』が民間のノウハウを生かしながら、まちのマネジメントを担うこととなりました。創業時の主な収入源は市街地駐車場経営。そして、活性化事業のひとつとして、物件オーナーと青梅エリアで新規開業する方のマッチングをサポートする『アキテンポ不動産』をスタートさせます。

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懐かしさを感じる外観のお店が営業を続けている。下は、2017年に東京都選定歴史的建造物に選定されたうなぎの老舗店『寿々喜家』。

「青梅はかつて、奥多摩の薪の集積所や青梅縞・青梅夜具地(やぐち:大正末期~平成11年ごろまで織られていた布団地などの木綿織物のこと)の産地として栄えていたんです」と教えてくださったのは、今回お話をうかがった、株式会社まちつくり青梅 代表取締役の野嵜弘さん。

物件のマッチングから開業・経営ノウハウまでトータルでサポートする『アキテンポ不動産』

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「『アキテンポ不動産』では、物件見学ツアーや空き店舗の歴史や特徴を掲載したパンフの作成などを通して、それぞれの特徴を最大限に伝えるようにしています。弊社が開業したのは2015年でしたが、空き店舗の下調べは2013年から始めていたんです。最初は街を歩きながら空き店舗になっているところを目視でチェックし、現状を把握していきました。商店街の会長さんや地区長さんなどにオーナー様の状況をうかがい、話を聞いてくれそうなところから“店舗をほかの人に貸してもらえないか”など、お声がけをしていきました。1階が店舗、2階が住居という建物が多く、水道や排水、入り口などをどうするのかといった条件のすり合わせが大変でしたね。約30件まわったんですよ」と話してくださったのは野嵜さん。初回の物件見学ツアーは約40名が参加し、7件の空き店舗を内見したそうです。以降、年数回の頻度でツアーを開催し、その参加者総数は100名以上にのぼります。
「新規で創業される方は、さまざまな不安がつきものです。物件のマッチング業務だけでなく、おうめ創業支援センター『Begin!』(ビギン)を紹介するなどのサポートもしています」とのこと。現在青梅駅周辺では、空き店舗を活用してオープンした飲食店・家具店などが地域密着型の店舗として元気に営業しています。

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『青梅オリジナルビール』が堪能できる『青梅麦酒』は化粧品店だったテナントを活用。ひさしは継続して使用している。

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こちらも空き店舗を活用したお店『家具工房BULTER』。木のオーダー家具と木の小物を販売している。

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「青梅シネマ(cafeころん別館)」は、元塾兼大家さんの事務所だったところ。遠くから見えるツリーハウスがシンボルとなっている。

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おうめ創業支援センター『Begin!』。JR青梅線「東青梅」駅南口より徒歩1分のところに位置しており、アクセスしやすいのもポイント。

青梅市民に定着してきたイベント『おうめマルシェ』を主催

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『株式会社まちつくり青梅』では、『アキテンポ不動産』や駐車場の運営以外に『おうめマルシェ』を主催し、街の活性化に寄与しています。「『おうめマルシェ』は、毎月第3日曜日に開催しています。会場は住江町駐車場と住江町商店街エリアで約50店が参加しています。駐車場エリアにはキッチンカーの飲食店、有機農家の野菜販売店、子ども向けのゲームや手作り品制作などが楽しめる都立多摩高校のお店などでいつもにぎわっているんですよ。『おうめマルシェ』に刺激されたのか、青梅市内のさまざまなエリアでマルシェが開催されるようになりました。7~9月は『青梅まちなかビアガーデン』、10月は『オクトーバーフェスト』、12月は『クリスマスマーケット』を同時開催しています。約3年続けていますが継続することで住民の方々にも定着してきたようです」とスタッフの天野さんが教えてくださいました。

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『おうめマルシェ』のひとコマ。当日配布される街歩きMAPを見ながら商店街をまわって、お気に入りのお店をみつけるのもおすすめ。

多くの人に贅沢な時間をプレゼントする『青梅時間』プロジェクト。
青梅がにぎわいを取り戻すよう、今後は奥多摩の観光拠点として活性化することを期待

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2階に『まちつくり青梅』の事務所がある建物は、歯科医院を改修したもの。1階は観光案内所を兼ねたブックカフェとなっており、観光案内マップなどが多数そろっています。海外からのゲスト向けに英語バージョンのパンフレットが用意されているほか、タブレット端末で多言語対応も実施。ここでは、読書会・日本酒会・ワイン会・各種ワークショップなどが開催され、地域や観光客に向けたコミュニティースペースとして利用されています。2019年の夏には飲食店営業もスタートします。
裏手には日本家屋をリノベーションした民泊が2019年6月にオープン。ブックカフェ・事務所とともに、多くの人に贅沢な時間をプレゼントする『青梅時間』プロジェクトとして新たな事業展開をされています。「登山が楽しめる山や温泉、渓流など奥多摩エリアには観光客が訪れるスポットがたくさんあります。観光案内所や民泊がきっかけになって青梅駅周辺の商店もにぎわっていけばいいと思っています」と野嵜さん。「ただ、すぐに活性化するというのは無理な話。時間をかけてじっくり整備していきたいです」と力強く語ってくださいました。

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ブックカフェには地域にまつわる本などもそろっている。木目を基調としたインテリアが癒しを感じさせてくれる空間。建物の3階はシェアオフィスとなっている。

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※掲載の情報は2019年7月時点のものです。