商店街紹介 武蔵村山市 村山団地中央商店会

都営村山団地の誕生と同時に営業を開始

武蔵村山市 村山団地中央商店会

約55.3ヘクタールの敷地に5,260戸が建設され、都内最大級の都営団地として1966年から入居が始まった「都営村山団地」。武蔵村山市緑が丘に位置していますが、この緑が丘エリアのほとんどが「都営村山団地」で占められているとのこと。多摩モノレール「上北台」駅より徒歩10分ほど歩くと、団地の姿が目に入ってきます。
団地の誕生と同時に営業がスタートした「村山団地中央商店街」は、50年以上の歴史があります。通りをはさんで店舗が並んでおり、生鮮三品・衣料品店などの商店だけでなく、医院・郵便局・銀行などもそろう普段使いにちょうどいい商店街です。最近は団地内の高齢化が進んでいることもあって、デイサービス・地域ケアセンター・高齢者みまもり相談室なども開所しています。 「今は、約7,000人が暮らしています。団地住民の総人口が26,000~27,000人ぐらいに達した1970年代のころ、商店街の通りはいつも買い物客でごった返していて、歩くのも大変だったんですよ」と比留間会長が当時の様子を教えてくださいました。

 武蔵村山市 村山団地中央商店会  武蔵村山市 村山団地中央商店会

中央に街頭や植栽が配されている商店街の通り。店舗前の通路には屋根が備わっているので、雨の日でも濡れずに買い物ができる造りとなっている(上)。商店街のキャラクター「ピヨちゃん」のイラストが入ったポイントカード。使用期限(5年)を設け、利用促進につなげている。1974年の導入当初はシールタイプだったのだそう(下)。

「都営村山団地の高齢化率は2019年の時点で約53%と非常に高くなっています。日本が数十年後に迎える姿がここではすでに現実のものとなっていますので、高齢化にどう対応していくべきかを常に考えて、これからの日本に役立つように試行錯誤を重ねていきたいですね」と今回お話をうかがった比留間誠一会長。
高齢化率:人口に占める65歳以上の割合

団地住民の高齢化が深刻に。
お客さまにきていただくのではなく、商店会が出向くことも必要と考え、宅配サービスをスタート

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築30年を迎えるころになると建物の老朽化が進み、1995年から約2,000戸ある庭付き・2階建ての簡易耐火住宅の建替準備がスタートすることになりました。近所との距離が近く、外出もしやすいなど戸建て感覚で暮らすことができた2階建て住宅でしたが、住民の移転先は8~14階の高層階と今までと環境がガラリと変わることとなります。「移住は2000年から始まりましたが、その対象のほとんどが1966年当初から入居している年を重ねた人たちです。高齢者にとって、この転居が生活スタイルに大きな変化をもたらしました」と比留間会長。高層階からわざわざ外出する機会の減った人が増え、孤独な生活を送る高齢者が目立つようになってきたのだそうです。
また、住み替え先の住居が商店街から遠くにできたことで、商店街へ足を運びにくくなってしまったという声も。さらに、2003年以降、近隣には大型の商業施設がいくつもオープンし商店街の客足にも影響が出てきました。このような環境の変化に対応しなければとなった商店会は、2007年に宅配サービスをスタートさせることになります。8月、有志7店が集まって宅配サービスの手作りチラシを各戸に配布。その後、この取り組みが武蔵村山市商工会商業部会で議題にあげられ、団地周辺をモデル地区とした「まいど~宅配」が11月にスタートします。参加店や店主からのメッセージが掲載された冊子を作成し、事業をアピールしたところ、宅配事業は徐々に浸透し注文数も増えていきました。

こちらは2015年1月に商店会が発行した「来てみてちょーだい便利帳」(保存版)。お店の紹介だけでなく、警察や市役所、休日急患診療所、タクシー会社などの問い合わせ先が掲載されている。左上に紐通し用の穴を開け、保管のしやすさも考慮している。

“商店街で買い物がしたい!”という声がきっかけで、送迎自転車が誕生

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ただ商品を届けるだけでなく、各店さまざまな工夫をこらすようになったことからサービスはどんどん充実していったとのこと。お客さまとも親しくなって距離が近づき、高齢者のみまもりにもつながったのだそうです。
「そのような中、わざわざタクシーで商店街にくる方がいらしたんです。帰りは私が車いすでお送りしていたのですが、往復するとかなりの時間がかかってしまいます。自宅まではおしゃべりしながらなので楽しいのですが、誰も乗っていない車いすを押して約20分かけて帰るのがどうも寂しくて。さらに、商店街には医院や郵便局などの物販でない業態もあります。宅配先でお話をお伺いしたところ、“商店街で買い物がしたい!”という声も多く聞かれました。さまざまなことを総合して考えてみると、高齢者の方に商店街にきていただき、数ある商品から欲しいものを選んでいただいたり、店員との会話を楽しんでいただいたりすることこそが重要なのでは?と思いまして、タイの“トゥクトゥク”のような小回りの利く送迎自転車の導入を考えました」と誕生秘話を明かしてくださいました。

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お刺身や焼魚とそれぞれの要望に対応してくれる鮮魚店、炊きたてのお米でおにぎりを握ってくれる米屋、パンツの丈直しをしてもらえる洋品店など“あってうれしいサービス”を提供している。どれも無料というから驚きだ。

送迎自転車が完成。商店街と団地とを行き来する姿が日常風景に

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宅配事業を進めていく中、中小企業振興公社主催の「若手商人研究会エコ店舗研究」で、リヤカーを使った宅配システムをプレゼンしたところ、ちょうど日本経済新聞の記者が出席しており新聞記事に取り上げてもらったとのこと。さらに、この記事が伊豆にあるメーカーの目に止まったことがきっかけで、送迎自転車を開発・製造する運びとなりました。そして、2009年10月1日より本格始動。2014年には、地元の製造業者が11社集まり、それぞれの技術を生かして製造した「むさむら1号」が完成します。現在は改良版の「むさむら2号」も加わり、送迎自転車が商店街と団地とを行き来する姿が日常風景となりました。
さらに詳しくお聞きすると「送迎自転車を開発しようとしているタイミングに、「まいど~宅配」の補助金とシナジースキーム事業コンペでの銅賞受賞が重なり、潤沢な資金を準備することができました。また、忙しい商店主に代わって、ボランティアで運転手を引き受けてくださる方が確保できたことも事業の成功につながる大きな要因となりました。現在の利用者数は毎日10人前後、日によっては20人を超えることもあります」と教えてくださいました。
「何かをしようとするタイミングで必ず援助を受けられたり、体制が整えられたりするんです。多数のマスコミがとりあげてくださったこともラッキーだったなと思います」と、振り返ってくださった比留間会長。商店主の高齢化も進んできている中、自治会にも協力してもらうなど、地域と商店街が一体となれるようなシステムを構築していきたいという展望を持ちながら、高齢化社会に対応する活動を続けていかれるとのことでした。

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商店街の空き店舗を活用した、送迎自転車の拠点「おかねづかステーション」。地方の物産品販売なども行っている。ここに電話で依頼をすると自宅前まで迎えにきてもらえるという仕組み。空車で走行中の車両へは、その場で声をかけて乗車することも可能。

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地元の製造業者11社の技術がつまった「むさむら1号」。もともと大手自動車製造会社の工場があった武蔵村山市には、ハイレベルな技術を持つ企業が多い。この事業を通して、武蔵村山市のこんな魅力もPRできたらとのこと。

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「むさむら1号」の改良版「むさむら2号」。次のステップでは、もう少し車両をコンパクトにしなから座席に余裕を持たせるほか、シャーシ(車台)部分に自転車メーカーの技術を取り入れていきたいとのこと。自転車メーカーに興味をもってもらいたいという希望も。

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送迎自転車を導入したことで、医院や美容室など物販以外のテナントにもメリットを感じてもらえるようになった。取り組みが評価され、2017年には「はばたく商店街30選」に選定されている。

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入会メリット

「まいど~宅配」、各種イベントへの参加など

商店街情報

  • 商店街名 村山団地中央商店会
  • アクセス 多摩モノレール「上北台」駅より徒歩10分
  • 住所 武蔵村山市緑が丘1460
  • TEL 042-563-8767(おかねづかステーション)
  • FAX
  • URL

※掲載の情報は2019年03月時点のものです。